社説/伸び悩む個人消費 不安払拭へ雇調金延長を望む

(2020/10/8 05:00)

「GoTo」キャンペーンに東京発着が追加され、各種スポーツ観戦者数の制限緩和も進むなど、経済活動の活発化が期待されている。ただ、新型コロナウイルス感染の再拡大など不安要素は多い。景気が順調に回復していくには、不安要素を取り除く対応策が求められる。

内閣府が7日発表した8月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が前月比1・1ポイント上昇の79・4と、3カ月連続で改善した。基調判断も前月の「悪化」から「下げ止まり」に上方修正した。悪化の表現が削除されたのは1年1カ月ぶりとなる。

9月の月例経済報告では「このところ持ち直しの動きがみられる」という景気の基調判断を2カ月連続で維持した。項目別では、海外需要の回復を受け輸出や生産を上方修正する一方、外出自粛や企業収益の悪化、先行き不透明感から個人消費、設備投資が下方修正された。

設備投資の先行指標とされる機械受注も7月は前月比で6・3%増と2カ月ぶりで増加した。製造業が同5・0%増、非製造業が同3・4%増だった。

9月調査の日銀短観によると、大企業製造業の景気判断指数は6月の前回調査に比べて7ポイント改善した。景気判断が改善するのは実に2年9カ月ぶり。大企業非製造業の景気判断も5ポイント改善。先行きも製造業・非製造業とも小幅ながら改善するとしている。

生産、輸出は上昇傾向にあるが、景気回復のカギは内需の柱である個人消費。8月の小売業販売高は前年同月比1・9%減と6カ月連続の前年割れ。売り上げ減の代表格は旅行、宿泊、外食などのサービス業。

厚生労働省によるとコロナ禍で解雇や雇い止めにあった労働者は、見込みも含めて2日時点で6万3347人。今後も増加は避けられない見通し。

政府は雇用調整助成金の上限額の引き上げ措置を12月まで延長したが、現下の雇用情勢を踏まえれば、さらなる延長が必要だ。個人消費の拡大には、将来への不安払拭(ふっしょく)策が何より求められている。

(2020/10/8 05:00)

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