(2020/10/14 05:00)
地域資源でくしを製品化
マグネシウム、アルミニウム、ステンレス等の精密部品加工を手がけるサンブライト。2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により、福島県大熊町の本社が帰還困難区域に指定されたことから、会津若松市の河東町工業団地に拠点を移して操業を続ける。
同社が得意とするのは光学レンズ部品やカメラ部品などの精密加工だが、渡邊忍社長は移転を機に「自社製品を開発する」という新たな目標を掲げた。みらいチャレンジプロジェクトの一環としてピザ店で使う道具の試作からスタート。試行錯誤の末、伝統工芸が盛んな地域特性を生かし、マグネシウムに漆を乗せたくしの製品開発にたどり着いた。
開発にあたっては、会津地域の企業と連携。マグネシウムを削りだした板に漆を乗せることで、軽さや滑りやすさ、耐久性の高さを追求。「最新のものづくりと伝統工芸の融合を目指した」(渡邊社長)。マグネシウム製のほか、3Dプリンターで成形したプラスチック製のくしも開発。いずれもくし先とくしの背に同一の曲線を加え、フィット感を出すなど機能性を高めた。全面塗装や一部塗装などデザイン検討を進め、最終的にはマグネシウム製とプラスチック製2種類、計三つのラインアップで販売にこぎ着けたい考えだ。
「一番大事なことは、会津の素材、会津の企業連携で製品を完成させること」(同)。ゆくゆくはネット販売などを通じ、海外に販路を求めることで「日本の伝統や技術を会津から発信しブランド力を高めていきたい」(同)とビジョンを膨らませる。
株式会社サンブライト
連載#05
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(2020/10/14 05:00)