社説/大統領選、バイデン氏優勢 脱保護主義へ、日本も協力を

(2020/11/6 05:00)

日本にとって米国は最も重要な同盟国である。新政権と早期に関係構築し、分断する世界を協調へと転換させてほしい。

米大統領選は民主党のジョー・バイデン前副大統領の優勢が確実となった。現職の共和党ドナルド・トランプ大統領は、郵便投票などで不正があるとして、集計の停止を求める訴訟を起こした。このため、選挙結果の確定にはなお時間がかかるが、民主党政権の誕生は揺るがないとみられる。

勝利を手にしてもバイデン氏には多くの困難が待ち受ける。米国は新型コロナウイルスの感染者数が世界最多であり、冬の到来で重症者数も増している。コロナ禍で傷んだ経済の立て直しも急務である。感染抑制と経済の復興を両立させる難しい課題に取り組まねばならない。

日本のみならず世界が注目するのは、中国との関係である。バイデン氏はトランプ大統領が行った制裁関税には反対の立場だが、中国政府の香港や南シナ海などでの強圧的な行動には厳しい姿勢で臨む方針。米議会も対中政策には厳しさを求めている。中国側が対応を変えなければ急速な関係修復は難しいとみておくべきだろう。

一方でバイデン氏は地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定への復帰を表明している。世界の温暖化対策の加速が期待される。

日本は早期に新政権との関係構築に努めてもらいたい。日米の同盟関係はどの政権になろうとも強固でなければならない。その上で、トランプ政権で離脱した環太平洋連携協定(TPP)への参加を促し、自国第一主義が横行する世界経済を、融和と協調による共存体制へと導く第一歩とすべきだ。

米国の国力はかつてのような世界を圧倒するだけの力強さではなくなっている。日本や欧州、成長するアジア諸国などと連携する新たな世界秩序づくりが求められる。

バイデン氏が選挙戦で訴えた「Build Back Better(より良い再建を)」が、国内だけでなく世界にも及ぶことを期待したい。

(2020/11/6 05:00)

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