(2020/11/12 05:00)
地方金融機関に経営改善を迫る異例の措置である。
日銀は地方銀行や信用金庫などが経営統合する場合、日銀に預けている当座預金の金利を年0・1%上乗せする新制度を導入する。金融機関にとってはマイナス金利下での金利上乗せはメリットが大きい。地銀に再編を強く促すものとなる。
低金利の長期化や地方の人口減少に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で融資先企業の経営が悪化しており、地銀の経営環境は厳しさを増している。
日銀が金利上乗せ策に課した要件は、2022年度までの3年間で、経営統合を機関決定する、または地銀が自ら経費改善努力をした場合も対象とする。ただ粗利益に占める人件費などの割合を示す経費率の改善が必要で、20年度は19年度に比べて1%以上、21年度は3%以上、22年度は4%以上改善が必要と厳しい条件となっている。
自助努力で利益を上げるか、大幅なコスト削減に取り組むか、経営統合に踏み切るか。どれを選択するにしても、金融機関にとっては厳しい経営判断が待ち受ける。
菅義偉首相は官房長官時代から地銀の数が多いとの認識を明らかにし、地銀再編への意欲を示してきた。27日には独占禁止法の特例法が施行され、同一地域内での占有率が高くなっても、地銀の合併が容認される状況が生まれる。日銀の地銀支援は、政府と歩調を合わせた格好だ。また今回日銀は3年という期限を設け、早期に決断を促す措置も講じた。
菅首相の地銀再編の意向をけん制するように、今年の9月ごろから地銀の間では統合ではなく、業務提携のような緩やかな形での連携が相次いでいる。地元密着の地域金融機関だけに、合併や統合はしたくない、との思いはまだまだ強い。
地域経済はコロナ禍で厳しさを増し、地銀など地域金融機関の金融仲介機能はますます必要になっている。地域にとってあるべき金融機関の姿とは何か。政府と日銀による地銀再編への誘導策を待つまでもなく、経営者が真剣に考えるべき時だ。
(2020/11/12 05:00)
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