産業春秋/マラドーナ紙幣

(2020/12/11 05:00)

  • 南米選手権決勝ラウンド、ブラジルのドゥンガ(左)と競り合うアルゼンチンのマラドーナ(1989年7月12日、ブラジル・リオデジャネイロ=AFP時事)

  • ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会、決勝トーナメント進出を決め、メッシ(右)と喜ぶアルゼンチンのマラドーナ監督(2010年6月22日、南アフリカ・ポロクワネ=時事)

  • マラドーナさんの死を悼むファンたち(25日、アルゼンチン・サンフェルナンド=AFP時事)

母国の英雄が紙幣で“復活”か―。11月に急逝したアルゼンチンの元サッカー選手ディエゴ・マラドーナ氏が、母国の紙幣になるかもしれない。1000ペソ(約1280円)紙幣の肖像にマラドーナ氏を採用する案が浮上。来年初めの議会で審議される。

同氏は1986年のワールドカップで母国を優勝に導いた英雄。天才的なテクニックで見る者を魅了し、今でも国内外に熱狂的ファンが存在する。

サッカー界のスターの死去は世界中の人々に衝撃を与え、同氏の功績をたたえる動きが広がる。かつて所属したイタリア1部リーグのナポリは、スタジアムの名称を「ディエゴ・アルマンド・マラドーナ競技場」に改称した。

近年、アルゼンチン経済はマイナス成長が続き、新型コロナウイルス感染症でさらに苦境にあえいでいる。インフレが加速し、貨幣価値は急落。コロナ禍でキャッシュレス化も急速に進展している。

そんなご時世にあっての、マラドーナ紙幣の登場だ。国民はもちろん、旅行者にとっても記念品として大きな魅力になるかもしれない。英雄の紙幣で経済回復を、というのがアルゼンチン政治家の思惑なのか。死してなお“アシスト”を期待されているようだ。

(2020/12/11 05:00)

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