産業春秋/東芝の東証一部復帰

(2021/1/29 05:00)

東芝が29日、東京と名古屋の両証券取引所の市場第1部に指定替えとなる。不適切取引の発覚に端を発した経営危機で債務超過に陥り、第2部に転落してから3年半。経営再建の大きな節目だ。

日本の電機産業の草分けであり、製造業を代表して財界のリーダーを輩出した名門企業。昔日の存在感を取り戻したわけではない。そもそも2部では巨大すぎた存在であり、1部復帰からがスタートだろう。

前途は楽観できない。どん底の時に力を借りた出資者が“モノ言う株主”となって厳しい目を向ける。筆頭株主であるシンガポールの投資ファンドとの間では、企業統治を巡る争いが表面化している。経営陣も気が休まらないだろう。

かつての社風は「公家の東芝」。血筋はよくても争いには弱いと評された。「野武士の日立製作所」「殿様の三菱電機」とともに「総合電機3社」として比較されたが、3社3様に事業再編を続けた結果、それぞれが基本戦略も得意分野も異なる企業に変貌した。

もはや国内での競争は大きな意味を持たない。新たな戦略と技術力で内外の信頼を勝ち取ることが東芝に問われている。それは実は、他の多くの日本企業にとっても課題である。

(2021/1/29 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン