(2020/12/18 05:00)
政府は、新型コロナウイルス感染症収束後のオンライン診療のあり方を月内にもまとめる。4月から実施している時限的措置を恒久化するものだ。これまでの経験で得た利便性とリスクを十分に検証した上で、安全性と信頼性を担保できるルールづくりが求められる。
2018年に保険適用となったオンライン診療はコロナ禍で転機を迎えた。対面診療による院内感染を回避するため、それまで認めていなかった初診のオンライン化を時限的に解禁。生活習慣病などに限っていた条件も緩和し、ほぼ全ての疾患を対象とした。
規制改革の旗を振る菅義偉首相は、この時限的な解禁をコロナ収束後も恒久化するよう関係閣僚に指示。厚生労働省と規制改革推進会議が月内にも具体案をまとめる予定だ。
焦点の一つは初診の扱いだ。初見の受診者は病歴などのデータがないだけでなく、オンラインでは触診・聴診ができない制約がある。疾患を見逃したり、薬の処方を誤ったりするリスクがつきまとう。田村憲久厚労相は10月、「限定的な初診解禁にはならない」とし、より幅広い対象を示唆したが、日本医師会は「かかりつけ医」に限定するよう要望している。
初診を含むオンライン化解禁は、拙速の感もある。課題を抽出し、イノベーションで一つひとつ乗り越えていくことも考えるべきだろう。
第5世代通信(5G)や6Gによる高精細な映像、仮想現実(VR)技術を活用した映像の3次元化、触覚を伝送できるモジュール、人工知能(AI)を使った熟練医の診察スキルの共有化など、先端技術をフル活用して診療の信頼性を高めることが肝要だ。他方、対面診療よりも低い診療報酬を見直すことも必要だろう。
受診者側もかかりつけ医の重要性を再認識したい。かかりつけ医がいる人は現在5割強にとどまる。オンラインを活用した積極的な医療相談は予病(病気にならない生活)につながり、社会保障費の削減効果も期待できる。
(2020/12/18 05:00)
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