五十嵐宏一コスモ技研会長と長谷川数彦金属技研社長がスマート工場を語る【PR】

(2021/1/12 05:00)

  • 金属技研の長谷川数彦社長(左)とコスモ技研の五十嵐宏一会長

 人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)技術を駆使した高度な無人化システムを得意とするコスモ技研と金属熱処理のエキスパート集団である金属技研。金属技研の土岐工場と群馬工場は両社がさまざまな難題を解決克服した自動化工場だ。国内の生産労働人口が減少する中、日本の工場はどう変わるべきか。五十嵐宏一コスモ技研会長と長谷川数彦金属技研社長が自動化の工夫や将来のスマートファクトリー化について対談した。

脱3K職場、職人の微妙な手加減をロボットで再現

真っ赤に熱せられた大型の金型をロボットが持ち上げ、中の材料を入れ替えるー。両社の協力は、土岐工場の自動化への挑戦から始まった。

金属技研の土岐工場に導入されているコスモ技研の工作機械

長谷川

航空機関連部品の熱処理や成形加工を行う土岐工場は高温、重量物を扱う典型的な3K職場。金型の重量は最大350キログラムもあり、プレス投入時の温度は700度に達する。過酷な作業環境のため作業者が長続きしない。事故や災害を防ぐためにも、人が介入しない自動化システムをつくり上げてくれるロボットシステムインテグレーター(SI)を探していた。しかし、何社かに相談したが、温度を聞くと皆腰が引けてしまう。頭を抱えていたところ、取引先から高温ワークを扱った実績があるというコスモ技研を紹介してもらい、希望が見えたと思った。

五十嵐

重工メーカー向けに1250度のワークを取り扱う工作機械の周辺設備を納入した実績があった。しかし実際に現場を見ると、かなり難易度が高いと感じた。温度に関しては全く問題なかったが、人でないとできないような細かくて複雑な作業をしていたからだ。どこまで自動化するかの線引きが重要なポイントになるという印象を持った。

長谷川

製品は旅客機の重要部品。難しい曲面で設計されており、金型に熱を加えながら成形していく。以前は作業者がクレーンで上金型を持ち上げて材料を入れ替え、セッティングしていた。

五十嵐

金型のはめ合いの精度が非常にシビアで、少しでもずれると途中でかみこんでしまう。作業者は、ホイストのチェーンを絶妙に調整しながらはめ合わせていた。ロボットは寸分違わぬ正確な作業は得意だが、作業者の経験や技能による微妙な手加減をロボットに置き換えるのは至難の技。いろいろと知恵を絞った結果、ある場所まで来たらアームをホイストのようにふにゃっとさせることで解決した。高度なロボットのプログラミング技術により、人の手加減を再現することに成功した。

長谷川

以前はクレーンの操作と、金型からの製品や材料の出し入れに計3人が必要だった。今は1人で済んでいる。人件費を削減できただけでなく、移載時の落下事故や輻射熱によるヤケドの解消にもつながった。

五十嵐

目の技術(ビジョン)も駆使した。枠内のどこに金型をセットしても画像で位置を認識し、位相合わせして着脱できる。ロボットは走行帯を移動し、1台で2台の成形機をカバーする。問題点を一番よく知るのは顧客だ。話を十二分に聞き、漏れがないか確認しながら、設備づくりを進めた。

長谷川

作業者は3K職場でも航空機の重要部品を製造していることに誇りを持っていた。今回、労働環境が飛躍的に改善されたことを皆喜んでいる。作業者の安全や安心など、無形の効果はとてつもなく大きい。

五十嵐

重量物と高温製品の扱いは実績があったが、高温エリアで画像技術を使うのは初めてだった。簡単に言うと、メガネをかけてお風呂に入ると曇って見えなくなるあの状態。カメラや照明、レンズを工夫し、輻射熱に対してもくっきり見え、正確に取りに行けるように仕上げた。当社にとっては高温エリアで画像を使うノウハウを蓄積し、新たな特徴とすることができた。

繊細なキズ問題をクリア、社員の意識にも変化

土岐工場の実績が、群馬工場(群馬県玉村町)での取り組みにつながりました。

長谷川

群馬工場は1962年に稼働した当社で最も古い工場。設備は老朽化し、時代遅れの”人海戦術工場”だった。自動車用プレス部品を作業者が箱から1個ずつ取り出し、入れ替えていたが非効率極まりない。通い箱が重く、防錆剤で滑って落下することもあり、何とかしなければと思っていた。

五十嵐

構想図ができ説明に行った時、『何社もトライしたがだめだった』と聞き、正直驚いた。理屈上、それほど難しくないと思ったからだ。しかし、構想やハンドリングとは別次元で壁となり立ちはだかったのがキズの問題だった。ソフトなロボットハンドリングなら大丈夫と踏んでいたが、実際にテストすると思った以上にキズがつきやすいことがわかった。

長谷川

自動車関連はすべて認証プロセス。新設備も品質チェックの対象で、それをクリアするのに苦労した。今は24時間稼働で、省人化と生産性向上につながった。さらに派生効果で、作業員の意識が変わり、現場から多くのアイデアが出るようになった。

五十嵐

費用対効果と予算の兼ね合いももう一つのハードルだった。ロボットはファナック製6軸45キログラム可搬に画像システムを組み合わせている。当初、2ラインの構想だったが、本設備1式で前段取りと後段取りの2モードを搭載。昼は準備、夜間は回収とわけることで、予算内で実現できた。画像技術もふんだんに使い、精度と処理能力を高次元で両立させた。

ゴールはスマートファクトリー

2工場で自動化が進んだが、両社のプロジェクトはこれで終わりではない。

長谷川

社長直属で、基幹システムを担当する新組織をつくった。土岐工場では重い金型を床に置いているが、自動倉庫で管理する方法を検討している。将来は熱処理の依頼が来たら、AIが形状や肉厚、温度など最適な熱処理条件を出し、ホストコンピューターからの指示で設備が自動で動く集中制御を導入したい。今は夢でも、無理だと言っていたら前に進めない。

コスモ技研の五十嵐宏一会長

五十嵐

これからの工場は設備の無人化だけでなく、いかにネットワークで全体を管理するかが重要。高度な自動化の実現にはITとFAが不可欠だが、その両方をできるSIはほとんどない。当社はスマートファクトリー化をワンストップで提案できるのが強み。他社との圧倒的な差別化になっている。

長谷川

新工場を建設する時が変革のチャンス。しかも、トップダウンでなければ変えるのは難しい。

五十嵐

仰る通り。最近の成功事例では、大手化学メーカーのIoTを駆使した新工場に携わった。最新の画像処理技術と特別に開発したロボットハンドを基幹システムに連結し、全体を管理する。このプロジェクトも『とにかく近未来の設備をつくりなさい』という代表の指示があったから進んだ。ロボット100台以上を基幹システムに連結しているメディカル系企業との取引もトップダウンで決まった。

国内労働人口は2030年までの10年間で600万人減少すると言われています。これからの工場が目指すべき方向性は。

五十嵐

難しい設備を創り上げるのは当たり前。それに加え、顧客の効率を高め、競争に勝ち続けるためのお手伝いをするには、やはり情報系に強い会社にならないといい提案ができない。機械設計と電気設計のバランスが重要。当社も7、8年前からシステム系の人材育成に力を入れており、優秀なメンバーを採用できている。

金属技研の長谷川数彦社長

長谷川

方向性は同じだ。受注管理から売り上げ管理、工程管理など全てをネットワーク化していく。さらにこれからの工場には働きやすさや安全性、環境への配慮も不可欠。分野でいえば医療や燃料電池などの環境関連で大きなビジネスチャンスがある。これからもコスモさんと協力し、大きなことに挑戦したい。

五十嵐

目指すゴールは究極の無人化を実現するスマートファクトリー。それが企業のブランディング戦略にもつながる。よりよい自動化システムを実現するため、これからも一緒に取り組んで頂けたらありがたい。

コスモ技研Webページが新しくなりました。

https://www.cosmo-gi.com/

(2021/1/12 05:00)

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