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(2021/1/11 05:00)
海況予測研究、船酔いにめげず
(総合1から続く)大阪大学大学院に進み、放射線治療の基礎研究に取り組みました。X線を照射した際、どのように細胞まで伝わるかといった研究です。生化学自動分析装置など医療機器分野を志望し、古野電気に入社しました。
当社は舶用レーダーなど船舶用電子機器が主力です。入社から約2年間は、全地球測位システム(GPS)情報を使って航行する船の速度を測る商船向け速度計の研究開発に携わりました。現在は漁業現場をどのように変革し、効率化できるのかを研究しています。
長らく漁業は、主に漁師の方々の勘や経験に基づいて行われてきました。ただ、近年の気候変動の影響もあり、次代の担い手に対しノウハウの伝承が難しくなっています。
そこで注目されているのが、IoT(モノのインターネット)やデータを活用した漁業です。例えば魚が多く捕れる海況が事前に分かれば、より効率的な漁業ができます。
現在、私が携わっているのは海況を予測する領域です。海況の予測値と実測データを比較し、検証する日々を過ごしています。実際の海域の状況をゆくゆくはパソコン上で簡便に再現できるようにするため、研究開発に日々取り組んでいます。
兵庫県内の山々に囲まれた地域で生まれ育ちました。入社前は海や船に縁が少なかったのですが、データ収集のため実験船に乗船することも時折あります。入社当初は船酔いで仕事にならないこともありました。
学生時代からバレーボールやテニスなどスポーツ全般が好きです。休日は幼い娘らと「本気」のかけっこや鬼ごっこで汗を流します。(文=神戸・福原潤、写真=大阪・冨家邦裕)
◇古野電気 技術研究所 研究部知能・情報処理研究室 稲川千津(いながわ・ちづ)さん
(2021/1/11 05:00)