産業春秋／乾燥注意

暦の上では春だが、朝晩はまだまだ寒い季節。天気予報では寒さとともに「乾燥注意」が強調されている。今年の冬は老若男女を問わず、例年以上に乾燥対策が必要なようだ。気温が低く、乾燥した空気中では新型コロナウイルスが感染力を持つ時間がより長くなると言われる。

鼻や喉にある線毛はウイルスなどの異物が侵入すると、小刻みに動いて外に出そうとする。乾燥や冷気で鼻の中の温度が下がると潤いが失われ、線毛の働きが悪くなり、ウイルスを排出しづらくなる。結果として気道内でウイルスが増殖する。冬場に感染症が深刻になるのはこのためだ。

家電量販店で加湿機能付きの空気清浄器やエアコンが売れているのもうなずける。温度と湿度を同時に上げれば、コロナとの戦いで強力な武器になる。

そこまでお金をかけなくても有効な手段にはマスクがある。飛沫（ひまつ）感染防止として、外出時の着用は定着した。花粉が飛び始めるこれからの季節にはなおさら外出時の必携品だ。

マスクには保温や保湿効果もある。家庭内のコロナ感染防止策としても有効だ。帰宅したらマスクははずしていたが、これからは家の中や就寝時にも着用する新たな生活習慣を身につけたい。