産業春秋／最長処分の薬害

錠剤型の抗真菌剤に多量の睡眠剤成分が混入した問題で、小林化工（福井県あわら市）に１１６日間の業務停止処分が下った。死者２人を含め健康被害は２４０人超。国の承認外の製法、二重帳簿の常態化と不正が次々とあらわになった。

薬害の歴史に新たに刻まれる「イトラコナゾール錠５０・ＭＥＥＫ」。２００４年発売の爪水虫の治療薬だ。同社はジェネリック医薬品（後発薬）を専門に５００品目を製造する業界中堅。製品全体を再点検し、これまでに計４０品目の自主回収を決めた。

処分の夜、小林広幸社長は「問題を認識しながら是正を先送りしてきた」とこわばった表情で経営の責任を認めた。２カ月余り前、最初に問題を公表してからは、厚生労働省、福井県など３者の調査に全面協力の姿勢という。

後発薬に追い風が吹く中で成長戦略に前のめりになり過ぎたのか。経営層、８００人の従業員だけでなく、監督する福井県の担当課の表情も硬い。さまざまな取材現場で当たり前に耳にする「品質管理」の言葉の重さを改めてかみしめた。

福井県は１カ月以内に同社に業務改善計画の提出を求めている。失った信頼の回復はいばらの道だろう。再生の過程を注視したい。