社説/緊急事態宣言21日期限 解除した上で変異種対策示せ

(2021/3/18 05:00)

新型コロナウイルス感染症対策は、変異種への対応を重視する新たなステージへ切り替えるべきだ。

政府は1都3県に発出中の緊急事態宣言を、予定通り21日で解除する方針を固めた。18日に専門家に意見を聞き、決定する。

過去1週間の新規感染者数は、東京や埼玉では前週より数値が増加しているのは事実。しかし、今の対策を続けるだけでは十分な効果も見込めず、経済のキズも深まるばかりだ。21日で解除した上で、政府には国民が納得できる新たな対応策を示してもらいたい。

国民が納得するのは、科学的根拠に基づいた合理的な対策である。まずは感染力が高い変異種対策の強化だ。神戸市の調査では、変異株が新規陽性の39%を占めた。首都圏でも調査を強化し、まん延の可能性のある地域で集中的に大規模検査を行う対策を講じてもらいたい。

同時に重症化リスクの高い高齢者への対応の強化だ。高齢者施設の入居者や介護スタッフへの定期的な検査を実施し、早期に感染者を検出し、隔離するクラスター対応が必要だ。

病床使用率は1都3県すべてで、解除の指標とされたステージ3の目標値を上回る状態が続いている。自治体による医療従事者と病床確保がどの程度進み、今後不足をどう補うのか。方針を丁寧に説明してほしい。

飲食店への20時までの時短営業要請も、自治体が実情にあったものに移行させるべきだ。

感染リスクは昼や夕方の時間帯でも変わらない。人と人の間隔を空ける、不特定多数が同席しないようにするなど、時間管理から具体的な感染対策の指示へと変えていくべきだろう。その上で対策を講じた店舗には、減収分を給付金で支援するような制度を設ければ、飲食店も納得しやすくなる。

多くの国民がこの1年間、新型コロナとの付き合い方を学んできた。手洗いやマスク着用などの基本的な衛生管理を励行しつつ、経済活動を続け、ワクチン接種が着実に実施されるのを待つ。ウィズコロナ時代を賢く乗り切りたい。

(2021/3/18 05:00)

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