(2021/5/27 05:00)
新型コロナワクチンの接種を加速するには、企業の協力が大きな推進力になる。日本経済が早期に回復軌道へ乗るよう、従業員が接種を受けやすい環境づくりに万全を期したい。
接種は2月中旬に医療従事者から始まり、65歳以上の高齢者に移行しつつある。国が全国の自治体に行った調査によると、政府目標の7月末までに高齢者向けの接種を完了できると回答した自治体は8割強に上る。自治体によっては7月中にも65歳未満に対象が広がる見通し。
企業は接種や副反応で欠勤する際の勤怠扱いを決めておくべきだろう。出勤扱いとしたり、接種するための特別休暇(ワクチン休暇)を設けたりするなど、混雑を避け平日に接種しやすい環境を整えたい。副反応に備えて同一部署に接種日が集中しない配慮も必要だ。
従業員が安心して働けるよう家族の支援まで制度の対象に含めている企業もある。三井倉庫ホールディングスは、グループ企業の従業員が家族の接種に付き添った場合も出勤扱いとする。家族に副反応が発生し、従業員が看護にあたる場合は特別休暇を取得できる。
接種は個人が利益とリスクを勘案して自らの意思に基づいて行うのが基本である。上司が部下に対して「接客業だから接種しておきなさい」と指示するのは適切ではない。上司は奨励のつもりでも、従業員からみれば強制と受け取られることもある。今後実施の可能性がある産業医による企業での接種についても、同調圧力とならないよう配慮が求められる。
非接種者から感染が発生した場合の企業責任について、労働法が専門の岩出誠弁護士は「従業員に接種を強制できない以上、そこだけで企業の過失は問えない。総合的にみて感染防止対策がどこまで実践できているかが問題になる」と話す。
接種の有無は機密性の高い個人情報に該当するため、原則、従業員の同意を得て取得するなど慎重な対応が必要になる。また非接種者が職場で差別を受けないよう通達などで社内に注意を促しておきたい。
(2021/5/27 05:00)
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