(2021/7/1 05:00)
コロナ下、働き方の多様化で労働災害リスクが高まっていることを再認識する必要がある。
2020年の労働災害による死亡者数は802人(前年比43人減)と3年連続で過去最少となった。建設業や貨物輸送業で大きく減少しており、各社の取り組みが奏功したといえる。
一方で、休業4日以上の労働災害による死傷者数は13万1156人(同5545人増)と、2002年以降で最多にまで急増した。
新型コロナウイルス感染者の中で、労働基準監督署が職場内感染と判断した、り患者が6041人発生したことが最大の要因。そのうち医療機関や社会福祉施設での死傷者数が4578人に上った。コロナ感染に直面する職場の過酷さがうかがえる結果だ。
業種別では、製造業や建設業の死傷者数が減少する一方で、第3次産業は前年比11・2%増加した。中でも小売業や飲食業、社会福祉施設での増加が顕著だった。コロナ感染に加え、人手不足や労働者の高齢化で、転倒や無理な動作による体への負担による事故が増えた。
60歳以上の労働者は2020年時点で1081万人。改正高年齢者雇用安定法の施行で70歳雇用が努力義務となり、さらに増加が予想される。中でも高齢女性の転倒事故が急増している。すべりやすい、狭いなどの職場環境の改善や健康管理対策が求められる。
労働災害においてさらに深刻なのは、統計データには表れないギグワーカーによる事故の多発だ。ネットなどを介して単発で配達などの仕事を請け負うギグワーカーは、労災の対象にもならず事故の補償もあいまいなケースが多い。働き方の多様化や副業解禁で、ギグワーカーは今後も増加する見込み。労働法による保護のあり方を考えるべき時ではないか。
きょうから全国安全週間が始まる。労災が増加する小売りや飲食業は、コロナ禍で厳しい経営状況にさらされている企業も多い。国も安全対策が二の次とならないよう経営者への啓発活動を強化していくべきだ。
(2021/7/1 05:00)
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