(2021/7/7 05:00)
日本経済をけん引する首都・東京が、コロナ禍を乗り越え持続的な成長を遂げる上で、今後4年間は極めて重要な時期となる。議会と知事の新たな緊張関係の下、大胆な都政運営を期待する。
喫緊の課題は新型コロナウイルス感染症対策と東京五輪・パラリンピックの開催だが、コロナをきっかけに顕在化した社会のニーズや産業構造の変化を捉えた新機軸を打ち出す時期だ。
小池百合子知事が「サステナブル・リカバリー」と称するコロナ後の成長戦略をどう具体化するか、また世界の都市間競争をいかに勝ち抜くか。既存の施策の延長線上にとどまらない発想や世界を俯瞰(ふかん)する視点が問われる。
例えば「国際金融都市構想」。都が4年前に策定したが、英国の欧州連合(EU)離脱や香港の政情不安など国際情勢は様変わりする一方、環境を意識したグリーンファイナンスの広がりは世界的な潮流だ。こうしたうねりを機敏に捉え東京の独自性をアピールする大胆な施策が求められる。
財政運営も大きな課題だ。新型コロナ対策では、豊かな財政基盤を背に事業者への協力金の上積みなど他の自治体がうらやむ施策を打ち出してきたが、対策の長期化で、ついに台所事情は心もとなくなってきた。
累計で4兆円を超える対策費を投じた結果、“貯金”にあたる財政調整基金の残高見通しは一時、21億円まで減少。その後、2000億円台まで盛り返すめどが立ったものの、制度融資の預託金返還などが理由で根本的に解決したわけではない。このままでは成長を後押しする施策を実現しようにも財政的な裏付けが得られない。
財源確保をめぐっては、都議会から都有資産の活用を求める声もある。今回の都議選で第1党となった自民党は29兆円もの純資産を持つ都を「トヨタ自動車を凌駕(りょうが)する超優良企業」と表現し、積極的な活用を促す。小池知事は現時点で「戦略的な財政運営に取り組む」と発言するにとどまる。中長期的な視点での財源議論に踏み込む時だ。
(2021/7/7 05:00)
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