(2021/7/6 05:00)
新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立を図るために、ワクチンパスポートの国内活用策を検討すべきだ。
政府は新型コロナウイルスワクチンの接種証明書(ワクチンパスポート)の発行手続きについて、7月中下旬にも申請の受け付けを始める方針。当面は海外渡航者を対象にする。発行手続きはワクチンの接種記録を管理する市区町村が行うが、現場での混乱も予想される。
政府が自治体に示した方針では、申請の受け付けは、窓口または郵送で受理し、電子申請は行わない。申請書類とワクチン接種記録システム(VRS)を照合し、証明書を窓口または郵送で交付する仕組み。
申請から発行までを即日で行うのが理想だが、申請者数によっては対応できない場合もありそう。さらに7月中に64歳以下でワクチンの2回接種を終えているのは、企業による職域接種を受けた人が多いと見られる。VRSへの接種情報の入力が完了していなければ、発行が遅れる可能性もある。
対応する自治体側には事務作業の負担が増すことになる。混乱を招かないように、当面は証明書が入国やその後の活動において不可欠な国への渡航者を優先するなど、むやみな申請を制限する措置も必要だろう。
菅義偉首相は11月までに希望するすべての国民への接種を終えたいと表明した。国民が集団免疫を獲得するには、6―7割の接種が必要と見られるが、先行する国でも比率を上げるのに苦労をする例は多い。
できるだけ多くの人に接種が進むよう、国内での接種証明の活用を考えていくべきだ。欧州では大規模イベントの入場に接種証明の提示を求めている事例などもある。接種が受けられない人への配慮をしつつ、経済活動を進めるために、接種証明書の活用を企業や団体が検討できる環境整備を進めたい。
電子申請や証明書のデジタル化が不可欠だ。接種券も含めてデジタル化し、国民が自分の接種情報を簡易に確認でき、活用に利便を感じれば、接種の促進にも寄与するだろう。
(2021/7/6 05:00)
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