(2021/10/7 05:00)
カジノだけでなく、ビジネスの場として発展させるべきだ。
カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を目指す大阪府・市は、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合体をIR事業者に選んだ。初期投資で約1兆円を計画する大阪IRが実現すれば、「大阪・関西万博」に続き関西経済を発展させる起爆剤となる。ただコロナ禍で一部施設は規模縮小するなど、不透明感も漂う。
提案では、2025年開催の万博と同じ夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)を会場に、総延べ床面積約77万平方メートルの複合施設を20年代後半に開業する。カジノ施設以外に国内最大級の総客室数約2500室を有する三つのホテル、世界水準のエンターテインメント施設、6000人超収容の国際会議場などが設けられる。年間売上高は約5400億円(うちカジノ分は8割)で、大阪府・市はカジノの納付金や入場料で年間約1100億円を事業者から受け取る。
残念なのは、経済界などが期待する展示施設の規模縮小だ。コロナ禍の影響から大阪府・市は求める展示施設の面積を当初の10万平方メートル以上から2万平方メートル以上に引き下げ、連合体の提案は2万平方メートルに収まった。将来拡大の余地はあるが、IR誘致を訴えてきた関西経済同友会は今回の事業者選定を歓迎しつつ、「早期に10万平方メートル級の展示施設を含む大規施設の整備を」とするコメントを出した。
世界で通用するビジネス都市の条件として集客力ある会議場や大型展示施設は重要だ。大阪の既存施設「インテックス大阪」(同住之江区)は総展示面積が約7万平方メートルあるが、施設老朽化や集客力の問題で大型展示会開催は減少傾向にある。コロナ禍が収束すればリアルの展示会の需要が高まるのは必至だ。
国民のカジノへの拒否感はまだまだ強い。だからこそ、IRをカジノだけでなく家族が楽しめる娯楽拠点やビジネスの場として成功させることが重要だ。IR事業者の連合体には複数の関西企業の参画も目指す。ビジネスで価値の高い施設となるよう計画を磨いてもらいたい。
(2021/10/7 05:00)
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