(2021/12/15 05:00)
「ずっと、こうばと読んできてしまった。こうじょうだと機械が並んでいて、働く人が点景になってしまうが、こうばなら働く人が主人公というイメージになるだろうと」。
元旋盤工・作家の小関智弘さんに、小川洋子さんのエッセー『そこに工場があるかぎり』の感想文をいただいた。本の奥付で工場にはこうじょうと仮名が振られていた。紹介された6社のうち比較的大きい施設は菓子工場で、大半は小規模ながらキラリと光る企業。
どこで働く人からもモノづくりへの気概がうかがえる。著者には町工場で半世紀以上過ごした小関さんでも及ばぬ視点があった。「人の役に立つ仕事をするのが職人だとは、わたしも書いてきた。でも手の技を、手の温(ぬく)もり、つまり生きた人間の体温を伝えているのだとまでは表現できなかった」と洞察力に感じ入っていた。
工場をこうじょうと読めば自動化や資本力、威厳を連想し、こうばであれば人の技、控えめでありつつの底力を感じる。
小川さんは「管理された工場であったとしても、ものを作る現場である以上、そこはやはり人間の知性と感情が詰まった場所」と綴る。コロナ禍が続いても、たくましく生きる工場は無数にある。
(2021/12/15 05:00)
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