(2022/1/20 05:00)
大寒の頃に仕込んだ「寒ざらしそば」は通をうならせてきた。ソバの実を川の冷水に浸してから、寒風にさらして乾燥させると、アクや雑味が抜け、甘みともちもち感が際立つ。
産地の一つ、栃木県栃木市の老舗店で堪能したことがある。通を気取って最初は汁をつけずズルッといく。鼻から抜けるそばの風味。かむと上質な甘みが広がる。江戸時代に信州高遠藩で将軍家への献上品として考え出されたのが発祥とされる。
消費者の選別志向が強まる時代は、商品コンセプトへの共感や賛同が購買の動機になる。「モノ」の特徴だけでなく、製法や歴史にまつわる「コト」や「ヒト」をストーリーとして発信し、商品価値を高める工夫が重要だ。
くだんの老舗店に今年の「解禁日」を尋ねたら「今は滝つぼから上げ天日干ししているところ。大寒には打ち始めたいが、お天気次第かな」とのこと。そばをゆでる燃料は火力の強い薪(まき)というこだわりよう。ますます食欲をそそられる。
非効率でも労を惜しまない丁寧な手仕事に日本のモノづくりの心意気を感じる。身を切るような厳寒の中、職人の丹精込めた仕込み作業が目に浮かぶようだ。栃木なまりにも誘われ気もそぞろになる。
(2022/1/20 05:00)
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