(2022/1/27 05:00)
優秀な留学生を受け入れるためにも早急に「ポスト留学生30万人計画」の作成が必要だ。
2008年に発表された「留学生30万人計画」は、目標の20年を1年前倒しで達成した。中国や韓国など東アジアからの留学生の比率は相対的に低下し、ベトナムやミャンマーなどの出身者が急増した。
受け入れ側の専門学校や日本語学校などが体制を整備したこともある。約4分の1の専門学校が留学生を受け入れており、今後も増加が見込まれる。専門学校の留学生数は民間シンクタンクによるとベトナムが36・6%と1位だった。2位は中国だが、ネパールが肉薄している。
しかしコロナ禍で様相が一変した。日本は水際対策として、外国人の新規入国を停止、私費外国人留学生の受け入れも原則停止した。この「鎖国政策」の結果、20年度は10%以上も落ち込んだ。韓国はコロナ感染下でも受け入れを続け、日本に来るべき留学生の相当数が韓国に流れたとみられている。ある専門学校幹部は「韓国は留学生政策が上手。優秀な人材をとられている」と指摘する。
政府はようやく留学生の入国制限の緩和を表明したが、いかにも遅きに失した感がある。
課題はまだある。例えばアルバイトの就労時間制限は週28時間だが、大幅に緩和すべきだ。就職率もまだまだ低い。日本学生支援機構などによると、単年度の卒業生6万人のうち、日本での就職者は約2万人で35%にとどまる。65%の留学生が日本での就職を希望しており、ミスマッチが生じている。
理由はそもそも求人が少ないこともあるが「日本の就職活動の仕組みが分からない」という声も多い。留学早期から就職活動についての情報提供を行うことが必要だろう。
日本のインターンシップ(就業体験)は短期が多いが、欧米並みに数カ月単位で実施すれば、企業と留学生との相互理解も深まるはずだ。
留学生を増やし、日本で就職を促すことは少子高齢化対策としても有効だ。ニーズに合致した受け入れ策を検討すべきだ。
(2022/1/27 05:00)
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