(2022/1/26 05:00)
コロナ禍が長引き過剰債務に苦しむ中で、債務の返済期限を迎える中小企業に寄り添った支援策が必要だ。
政府系金融機関による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が3月末に申請期限を迎え、同融資の返済が年末にかけて本格化する。財務省によると、ゼロゼロ融資をはじめとするコロナ禍関連の融資残高は政府系、民間金融機関を合わせて2021年4月末ですでに約56兆円に達し、国の予算の半分以上の巨額マネーが供給された。
ただコロナ禍の長期化は想定以上に中小企業の経営を脅かし、ゼロゼロ融資を受けた企業の中には、追加融資で資金繰りを賄っている事例も少なくない。有利子負債と合わせて過剰債務が経営を圧迫している中、ゼロゼロ融資の返済が待ち受ける。
政府は経済対策に盛り込んだ事業復活支援金により、中堅・中小企業に最大250万円を支給するが、効果は限定的だ。雇用調整助成金も3月末に適用期限を迎え、延長しなければ雇用にも影響が波及しかねない。
全国銀行協会は中小企業を対象とした私的整理の新たなガイドラインを今月中に策定し、4月から適用する予定。債権者との交渉により債務を減免する私的整理の条件を大企業より緩和する。債務超過解消までの期間を5年以内(大企業は3年以内)とし、経営者の退任も必ずしも問わないことを検討する。
ただ、法的手続きによらない救済措置は、中小経営者のモラルハザード(倫理観の欠如)を招きかねないとの指摘もある。全銀協は弁護士や公認会計士などの第三者を活用し、適切な私的整理に取り組む意向。安易な“延命”でなく、新事業や業態転換を図るなど事業再生に道筋を付ける計画作りとセットで支援を考えるべきだ。
ゼロゼロ融資をはじめとする政府の中小企業支援により、コロナ禍にあっても21年の倒産件数は半世紀ぶりの低水準にとどまった。だが原材料高など新たな逆風も吹く。中小企業の過剰債務問題を軟着陸させ、倒産件数の反動増をできるだけ緩和させたい。
(2022/1/26 05:00)
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