(2022/2/22 12:00)
コネクターとセンサーのテクノロジーにおけるグローバル リーディングカンパニー、TE Connectivity(スイス、以下「TE」)が、イノベーションの原動力となる「I&D」(インクルージョン&ダイバーシティー、包摂と多様性)の推進に積極的だ。I&Dを重要な経営課題と位置付け、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮できる環境づくりに力を注いでいる。TE日本法人のタイコエレクトロニクスジャパン合同会社(川崎市高津区、松井啓社長、以下「TEジャパン」)でも、多様な人材の活躍を後押しする取り組みに力がこもる。
TE Connectivityは画期的なコネクターやセンサーの製品開発およびソリューションの提供を通じて、電気自動車(EV)やデータ通信、ファクトリーオートメーション(FA)、再生可能エネルギーなどの技術革新に貢献しています。だが、イノベーションを持続させるためには、世界トップ水準の人材を確保し、その才能を最大限に生かせる環境を整える必要がある。この点で多様な人材が持つさまざまな知識や技能を組み合わせて化学反応させれば、従来にないものを生み出す起爆剤となり得る。そこで多様な個性を受容し、それぞれの意見を尊重し合う企業文化を育むことに力を入れている。
中でも注目されるのが「Employee Resource Groups」(ERG、従業員リソースグループ)というコミュニティー活動を通じて部署や職種の違いを越えた交流を促す取り組みだ。例えば女性社員の活躍を促進する「Women in Netoworking」(WIN)や、今後のリーダーシップが期待される若手らが参加する「TE Young professionals」(TEYP)など複数の従業員グループが活動している。
日本でも従業員の多くがコミュニティーに参加し、横のつながりを深める中で自己啓発や能力開発に取り組んでいる。最近ではWINのメンバーと経営陣が円卓会議を開き、リモートワークが常態化する中でのキャリア形成や、スキルの磨き方で意見交換した。WINは社会貢献のための活動もしており、会社側も「女性の採用を推進するとともに、女性が活躍できる企業風土の醸成に、引き続き取り組む」(TEジャパンの松井社長)考えだ。
一方、TE Connectivityグループでは、イノベーションの担い手となるエンジニアの育成にも余念がない。例えばグループ各社の優れた技術者が毎年、一堂に会す「TechCon(テックコン)」では事業発展への貢献が大きい製品の開発者を表彰し、国・地域をまたいだ技術交流を促している。
グループ各社がこれまでに取得または出願した特許は、1万5000件を超す。こうした実績が評価されてTE Connectivityは、英調査会社のクラリベイトが選ぶ「世界で最も革新的な企業100社」に21年まで10年続けて選出された。TEジャパンの松井社長は「イノベーション能力を発揮し、高度なエンジニアリング技術をお客さまと共創することで、より良い世界を築く」と決意を新たにする。
女性エンジニアインタビュー
I&Dの推進を重視するTEの姿勢を、現場のエンジニアはどう受け止めているのか。TEジャパンのオートモーティブ技術・開発本部で製品開発エンジニアリングを担当する入社3年目の若手女性エンジニア、小川裕月さんに技術職としての働きがいなどを聞いた。
――工学系の分野に進んだ理由は。
「もともと理系の学問に興味があり、将来の仕事にも生きると考えて中央大学理工学部で電気工学を学びました。就職の際にはインターンシップ(就業体験)でメーカー数社を訪問した中で、コネクターという身近な製品に魅力を感じてTEを志望しました。気さくで面倒見のよい人が多く、自由な雰囲気が感じられたことも決め手になりました。入社以来、自動車向けコネクターの設計部門に勤めています。新しいものを生み出すことに興味があり、内定時に希望として設計の仕事を挙げました。TEは自分のアイデアを生かして挑戦しやすい環境が整っており、やりがいを感じています」
――印象深かった仕事はありますか。
「設計部門のメンバーが開発したコネクターの試作品を組み立てる治具の設計を任されたことです。使用環境に一定の制約がある中でいくつかアイデアを出し、検討を重ねました。完成した時はとてもうれしく、試作品が出来上がった時も感慨深く思いました。加えて設計者が何を考えて設計の作業をしているのかを、知る機会にもなりました。どういった点に留意し、どう工夫しているかです。若手教育の狙いがあったのかもしれません。コネクターの設計者と何度も対話を重ね、課題を解決する方法を話し合ったことが、良い経験になりました」
――日本で女性の技術職はまだ少数にとどまっていますが、女性の活躍を後押しするTE Connectivityの取り組みをどう思いますか。
「女性の活動を支えるため、TEグループ各社はWINというコミュニティーを設けており、メンバーには相談事などで支えになってもらっています。またWINの活動を自身のキャリアに生かそうとか、会社をさらに良くしようというメンバーの考えに触れ、こちらの意識も変わった気がします」
――今後、取り組んでみたい仕事は。
「やはり新製品の設計・開発に携わりたいと思います。今のところは既存製品の設計変更やカスタマイズ(個別対応)が中心で、新製品の設計・開発に参画したことはまだありません。必要な知識が多岐にわたり、覚えるべきことがたくさんありますが、いつかはそのようなプロジェクトに加わりたいです」
――後進の女性エンジニアにメッセージを。
「『理系女子』が注目されている今だからこそ、その存在感を示す必要があると思います。エンジニアとしての活動や成果をアピールし、仕事ぶりを知ってもらえば、技術職を志す女性が増えるでしょう。存在感を示すための情報発信が重要です。この点でTEグループには(世界各地の技術者が交流する)『テックコン』など国際規模でコミュニケーション能力を磨く機会があり、大きな励みになります」
TEジャパン・松井啓社長コメント
(2022/2/22 12:00)