第47回発明大賞、受賞製品・技術のポイント 発明功労賞

(2022/3/7 05:00)

発明功労賞(50音順)

変位・振動を面的に計測する振動可視化レーダー=アルウェットテクノロジー(代表取締役・能美仁氏)

 観測対象で反射する電磁波を送受信する干渉型の振動観測装置。離れた場所から橋梁(きょうりょう)やビルなど大型構造物の表面の微細な変位や振動を高精度かつリアルタイムで計測する。

 レーダーで画像化し、信号位相から面的に振動や速度、変位を計測する。振動は数十マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の精度で計測できる。本体を地上に設置して計測できるため、大がかりな足場の設置やセンサーの取り付けが不要。昼夜間、計測・監視が可能。(アルウェットテクノロジー=東京都三鷹市)

発明功労賞

広口ビン等の手動式真空キャッパー=池田機械工業(代表取締役・池田益治氏)

 口の広い瓶入り食品の容器内を真空にしてキャップを巻き締めする装置。電気などの動力を使わず、手動で容器内の減圧・キャップを巻き締めする。上部・下部の2部構造で、上部には手動減圧ポンプとキャップ巻き締めハンドルが一体化して組み込まれている。下部は多様な形態の瓶の芯出しと固定が可能。

 幅180ミリ×奥行き170ミリ×高さ385ミリメートル。重量3・2キログラム。外径30ミリ―80ミリメートル、高さ50ミリ―100ミリメートルの広口瓶に対応する。(池田機械工業=山形県上山市)

発明功労賞

紙製ハンドルの使い捨てカミソリ=貝印刃物開発センター(社長・遠藤浩彰氏ほか4人)

 カミソリの刃とヘッドだけが金属製で、持ち手部分に耐水加工紙を使ったほぼプラスチックフリーのカミソリ。そり味を落とさずに、必要な耐久性を持つ構成・構造を低価格で実現した。組み立て式で収納性や携帯性が高い。

 プラスチックはヘッドを持ち手に貼る接着剤と耐水性向上のために、紙にラミネートしたフィルムのみ使用。金属部と紙部の取り外しが容易でリサイクル性が高い。カラーバリエーションやロゴ入れなどの展開が容易。(貝印刃物開発センター=岐阜県関市)

発明功労賞

水質自動監視装置及び低濃度毒性検査方法=環境電子(会長・山本隆洋氏)

 メダカを用いて水質を自動で監視する方法を確立し、その装置を開発した。メダカなどの小型魚類が持つ危険を感知して群れをなす習性を活用。メダカの水流中の挙動を撮像・画像解析する。一カ所に集まると、それを検知して、試料水への低濃度有毒物質の混入を判定する。異常が分かると警報を発信する。

 メダカは個体差が少なく、研究試験魚として大学や研究機関で使われている。小型魚類のため、装置の小型設計が可能。(環境電子=福岡市早良区)

発明功労賞

スマホでも操作可能な手動シャッター電動化装置=システムデザイン(代表取締役・飯田光浩氏)

 既存の手動シャッターを後付けで電動化できる装置。ブラシ付き直流(DC)モーターを使用。電流変動を計測することで、センサーレスでシャッターの開閉位置を検出し、外部制御により開閉位置の操作や異常検知を可能にした。

 専用アプリケーション(応用ソフト)をダウンロードすれば、スマートフォンによる開閉制御や設定、動作状況の確認ができる。シャッターのシャフトを取り外す必要がなく、容易に取り付け可能。(システムデザイン=福井市)

発明功労賞

カラーユニバーサルデザインの踏切用表示灯=東邦電機工業(技術本部設計部課長・佐藤英岐氏ほか3人)

 色覚障害者にも見やすい踏切用表示灯。発光ダイオード(LED)の発光波長を変更し、多くの人が認識しやすい波長を使用した。従来の踏切警報灯と同等の消費電流としたことで設備変更なしで設置でき、導入コストを大幅に削減できる。

 全方向型で、背板機能を灯箱内に設けることで、背板への着雪凍結を防止。大きな発光面で視認性を向上した。曲面を基調としたデザインで、天板面積を同社既存品と比べて40%低減した。(東邦電機工業=東京都目黒区)

発明功労賞

生産性を飛躍的に向上したローラーヘミングシステム=ヒロテック(装置技術部組立トライ課班長・堀家康平氏ほか1人)

 自動車のドア・フッドなどのローラーヘミングシステム。ドアなどはアウターとインナーパネルで構成されている。今回確立した技術でパネル同士を溶接せずに折り曲げ接合する。車種変更時にアンビルやマテリアルハンドリングの交換をロボットで実現。加工速度を向上させる。

 ヘミング加工は薄鋼板を180度折り返し、平らに押しつぶす加工処理方法。「プレス」と「ローラー」の二種類あり、ローラーヘミングは通常、加工に時間がかかる。(ヒロテック=広島市佐伯区)

(2022/3/7 05:00)

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