(2022/3/7 05:00)
日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第47回(2021年度)発明大賞」に25件の発明が選ばれた。発明大賞は発明考案を通じて産業の発展や国民生活の向上に寄与した資本金10億円以下の中堅・中小企業や個人、グループに贈られる。14日に予定していた表彰式は開催を見合わせる。
発明大賞 本賞
メニエール病の症状の治療ができる可搬可能な装置=第一医科(代表取締役・林正晃氏)
鼓膜の切開が不要な非侵襲の治療を可能にした中耳加圧装置。空気圧波動を外耳道から導入し、鼓膜を介して耳小骨を振動させることで、内耳に蓄積された内リンパ液の排出を促す。小型軽量で専門医のもと患者自身で操作が可能。
内耳の感覚器が内蔵されている内リンパ腔内の圧が高まることで、難聴や耳鳴りなどを伴うめまいが反復して起きる難治性の「メニエール病」の治療に高い有効性を示している。
空気圧波動の継続時間や圧力、パルス幅、周波数が調整可能で、最適な条件を設定できる。装置は2017年に薬事承認され、18年に保険適用された。(第一医科=東京都文京区)
発明大賞 東京都知事賞
トルク可変式回動制動装置=TOK(製品開発センター長・高橋大輔氏)
360度以上の連続回転を伴う場合に、制御力を大きくしたり小さくしたりして、速度制御可能なダンパー。ブラインドの昇降装置として利用した場合、ブラインドの低速降下と軽い力での巻き上げを可能にする。
回転に伴いピストンが移動。オイルが圧縮されることで制御力を発生させる。制御力はオイル流路のすき間量の大きさにより変化する。歯車なしで速度制御が可能なため、摩擦音がなく、静音性にも優れている。(TOK=東京都板橋区)
発明大賞 日本発明振興協会会長賞
自動水抜き機構を備える不凍水栓柱=竹村製作所(技術部課長・清水貞治氏)
自動で水抜きができる吸気開閉機構を内蔵した不凍水栓柱。通常時はピストン部が膨張し通気孔を封止。冬季は体積が収縮し通気孔の封止が解除され、空気が水栓柱内に入る。
不凍水栓柱は冬季に管内の水が凍結し、管が破裂する恐れがあるため、管中の水を抜いて凍結を防ぐ。開発品はワックスの温度による体積の膨張と収縮を利用して温度感知と駆動を両立させる機構を組み入れ、水抜きの操作を自動化した。(竹村製作所=長野市)
発明大賞 日刊工業新聞社賞
木板の連続曲げ加工システム=今井産業(取締役会長・今井公文氏)
(2022/3/7 05:00)