(2022/3/9 05:00)
社会の持続可能性にロボットが果たす役割は大きい。ロボット先進国の日本は、課題を着実に乗り越え、世界をリードしてもらいたい。
コロナ禍を経験した世界で、ロボットの普及は従来以上のスピードで進むとみられている。産業用ロボットは生産現場だけでなく、小売りやサービスなど活躍の場を大きく広げていく。
日本ロボット工業会によると、日本の産業用ロボットの受注額は2021年に1兆円(非会員を含む)が確実視される。22年は売上高も1兆円超えを達成する見込み。世界市場全体で2030年代には10兆円産業に成長するとの見通しもある。
中小企業にとっても、ロボットは期待が大きい。単なる人手不足対策のツールというだけでなく、導入をきっかけに工程そのものを見直し、生産性を向上させていくものとしたい。
そのためにも人と近いところで作業をする上での安全性確保、動作を教えるティーチングの簡易さなど、使う側にとって有意な技術開発をさらに進める必要がある。ロボットメーカーとユーザー企業を結びつけるSIer(システム構築事業者)の役割が重要だ。
ロボットには、サイバー空間で処理されたものを、リアル空間で作業をする、フィジカルとサイバー空間の接点としての役割も期待される。デジタルツインとも言われる。人工知能(AI)技術と融合し、膨大なデータを処理した上で、現実世界で最適な動作を生み出す。産業分野だけでなく、自動運転や医療など、用途は飛躍的に広がる。
一方で、ロボットとAIの融合は我々に予期せぬ未来も予見させる。武器としてロボットを活用する研究が着々と進められ、一部で戦闘に実用されている。技術の進化と人類がよりよく生きるための倫理を整合させていかなければならない。
近い未来に〝ロボットがありふれた社会〟が到来するのは間違いない。その時にロボットをどう使いこなし、持続可能な社会のために役立てるのか。ロボット先進国である日本が考えるべき課題だ。
(2022/3/9 05:00)
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