(2022/4/25 05:00)
携帯電話通信料の値下げ影響を除けば、3月の全国消費者物価指数の上昇率は前年同月比で2%を超えた。中でもエネルギー全体の上昇率は同20・8%と、第2次オイルショックで原油が高騰した1981年1月以来、41年2カ月ぶりの高い上昇率だ。ロシアのウクライナ侵略による影響は4月以降に表れる。政府の物価対策に加え、企業もコスト削減や事業効率化などの自助努力が求められる。
皮肉にも日銀が掲げる2%の物価上昇目標を半ばクリアした形だが、景気拡大によらない「悪い物価上昇」だ。3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・8%上昇と7カ月連続で前年を上回り、総務省によると、携帯値下げの影響を除いた単純計算では上昇率は2%を超えたという。
エネルギー価格のうち、電気代は同21・6%、ガソリン代は同19・4%それぞれ上昇した。“インフレ倒産”が電力の小売り事業会社「新電力」の間で相次いでおり、他業界に広がらないか懸念される。
帝国データバンクによると、2021年度に新電力の31社が事業から撤退し、14社が倒産した。自前の発電所を持たない新電力は卸市場から電気を調達するが、燃料高騰と円安進行が調達コストを膨張させ、コストが販売価格を上回る逆ざやに陥っている。
過剰債務を抱える中小企業の今後も予断を許さない。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化し、全国地方銀行協会によると9月末までに融資案件の約5割で返済が始まるという。コロナ禍と物価上昇に見舞われる中、返済原資を円滑に確保できるか心配だ。
経済産業省は、中小企業が燃料高騰分を適正に価格転嫁できるよう約1400団体に要請しており、中小に不当な負担がかからないことを期待したい。
政府は物価高騰に対応した総合緊急対策を月内にまとめ、インフレの影響緩和や中小企業の資金繰り支援を強化する。ウクライナ問題の長期化も想定し、産業界は事業の効率化・省エネも視野に入れておきたい。
(2022/4/25 05:00)
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