(2022/4/26 05:00)
仏大統領選挙の決選投票の結果、現職で中道のマクロン大統領が極右「国民連合」のルペン候補を破り、再選を果たした。国際協調を重視するマクロン大統領を支持し、自国第一主義を掲げるルペン候補を退けた有権者の判断を歓迎したい。欧州連合(EU)は結束を一段と強化し、西側諸国は対ロシアの経済制裁拡充で足並みを揃えたい。
両氏の決選投票は前回2017年と同じ顔合わせ。ルペン候補はEU離脱や移民排斥などの発言を控えて穏健路線を強調。ロシアの経済制裁が急激な物価上昇を招いたとして、付加価値税の減税などで労働者票の獲得に動いた。またフランスが核保有国であることなどを理由に、NATO(北大西洋条約機構)とは一線を画し、EUへの拠出金も減らすべきだと訴えた。
対するマクロン大統領は、ロシアのプーチン大統領と十数回会談してウクライナとの対話を訴える一方、EUによる経済制裁も主導。EUの結束強化と国際協調による経済制裁の強化などの実績を有権者は支持し、内外政治が安定する既定路線を選択した。ウクライナ危機の窮状を踏まえた適切な判断だ。
ただ両氏の得票率は前回の決選投票ほど差はない。EUでは難民問題や経済格差問題を抱えており、英国のEU離脱に象徴される保護主義への傾斜が潜在的にくすぶり続けていることに留意が必要だろう。
安全保障をめぐる懸案は東アジアにも存在する。バイデン米大統領は5月下旬に同盟国の日韓を訪問し、日本での日米豪印の「クアッド」にも出席する予定だ。ウクライナ情勢や対中国を見据えて日米韓やクアッドの協調体制を世界に示したい意向を示す。中でも悪化の一途をたどってきた日韓の関係改善が進展する転機としたい。
北朝鮮が約5年ぶりに核実験を実施する兆候もみられる。韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領は歴史認識と安全保障いずれを重視するかが当面の焦点になる。新政権は文在寅(ムン・ジェイン)政権と比べれば日本に歩み寄る姿勢を示しており、まずは安全保障で関係修復を図ることから始めたい。
(2022/4/26 05:00)
総合2のニュース一覧
- 経営統合作業の人材教育支援 企業庁、診断協会と連携 事業承継円滑化(22/04/26)
- 政府、蓄電池産業テコ入れ 世界生産10倍、「全固体」軸に巻き返し (22/04/26)
- 社説/仏大統領選 現職が勝利 EU、対ロ制裁で一段の結束を(22/04/26)
- 金融機関に気候変動対応促す 金融庁案、取引先企業支援を要望(22/04/26)
- 雇調金支給、昨夏から低下傾向 厚労省調査(22/04/26)
- 再生航空燃料国産化へ 経産・国交省が官民協議会(22/04/26)
- 経産省とスポーツ庁、交流拠点のスタジアム3件選定(22/04/26)
- 【おくやみ】田口栄一氏(元三菱レイヨン〈現三菱ケミカル〉社長)(22/04/26)
- 【おくやみ】田谷哲哉氏(田谷創業者、元社長)(22/04/26)
- 企業信用情報/22日・25日(22/04/26)