(2022/8/1 05:00)
日米両政府は7月29日(現地時間)、ワシントンで外務・経済閣僚による経済版「2プラス2」の初会合を開き、次世代半導体の量産など、半導体のサプライチェーン(供給網)強化で協力することを確認した。
台湾有事を念頭に半導体の安定供給につなげる狙いだ。バイデン米政権は台湾も加えた米日韓台4カ国・地域による半導体供給網の枠組み「チップ4」構想も実現したい意向で、連携の輪が拡大するかを注視したい。
日米は今回の2プラス2で、次世代半導体の共同開発などに向けて、官民の研究開発拠点を新設する。米国が主導する経済圏「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の主要な加盟国にも参加を呼びかける方針だ。台湾有事を見据えた経済安全保障の一環となるが、他方で台湾を取り込んで半導体の対中包囲網を築く構想も温めている。台湾は2025年にも回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)の次世代半導体を生産する方針で、中国との争奪戦も想定される。
バイデン米政権は米国、日本、韓国、台湾による半導体供給網の構築を目指している。アジアは半導体生産で約8割のシェアを握っており、「チップ4」構想の実現により、半導体の国産化を急ぐ中国をけん制する狙いがある。ただ日本や台湾は参加に前向きとされるが、韓国は慎重姿勢を崩していない。
韓国にとって中国は半導体の最大の供給国だ。米国は韓国に対し、「チップ4」実現に向けた実務会議への出欠を8月中に通知するよう求めているという。中国は韓国の動向をけん制し、韓国は中国排除が前面に出ることを警戒する。韓国は米国主導の経済圏IPEFも「チップ4」も中国排除でなく、国益追求が目的だと中国に配慮する。韓国の対応を注視したい。
台湾統一を目指す中国にとって、最大の輸入相手国・地域はその台湾だ。中国は輸入する半導体の過半を台湾・韓国に依存している。中国は台湾が他国と連携することに反発を強めるが、台湾は米国との緊密化に動いている。韓国が「チップ4」に乗り遅れないと期待したい。
(2022/8/1 05:00)
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