(2022/10/18 09:00)
コネクターとセンサーのテクノロジーで世界をリードするTE Connectivity(本社スイス、以下「TE」)が、持続可能な社会づくりに貢献する姿勢を一段と鮮明にする。18日に千葉市美浜区の幕張メッセで開幕するデジタル技術の総合展示会「CEATEC(シーテック)2022」で、安全性や効率の面から持続可能な未来社会を支える技術・ソリューションを紹介する。自動車の電動化や、再生可能エネルギーの普及拡大を力強くけん引する立役者として、その存在感がさらに強まりそうだ。
シーテックがリアルの展示会として開かれるのは、3年ぶりとなる。幕張メッセ会場の会期は21日まで。
今回のリアル展示会でTEは「Engineering a Sustainable Future」(持続可能な未来を創り出す)をテーマに、安全で効率的な社会の構築につながる技術・ソリューションを紹介する。オンライン限定で開かれた21年のシーテックで同社は「未来をエンジニアリングしましょう」をテーマに掲げたが、今回は「持続可能な」と踏み込み、目指す未来像を一段と鮮明に描き出そうという考えだ。
TEの日本法人、タイコエレクトロニクスジャパン合同会社(川崎市高津区、松井啓社長、以下「TEジャパン」)によると、広さ20小間の展示ブースを「トランスポーテーション」「インダストリアル」「コミュニケーションズ」の3区画に分け、それぞれの業界に対象を絞って、最新のコネクティビティーやセンシング技術を紹介する。また正面左側のメーンステージには「ワールド コネクティビティ」体験コーナーとして、TEの製品群の中でも特色がある電子部品を150点余り搭載した電気自動車(EV)運転体験装置を設置する。
トランスポーテーションのコーナーでは、EVやハイブリッド車(HV)のさらなる進化に欠かせない高電圧コネクターや充電インレット、安全で快適な運転を支える電子制御システム向けの車載用センサー、コネクテッドカー(つながる車)の重要な基盤となる高速通信コネクターなどを展示。より安全で、環境にも配慮したモビリティー(移動性)社会の実現に不可欠な製品・技術・ソリューションを提案する。
インダストリアルのコーナーでは、再生可能エネルギーのさらなる普及・浸透につながる技術・ソリューションが目を引きそうだ。電力ケーブルの新しい導体接続方法を提案し、洋上風力発電設備などの施工やメンテナンスにかかる費用を低減できるソリューションを展示。再生エネで作られた電力を安定供給するため使われるバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)向けにも、強固で耐久性が高く、なおかつ小型で作業性や安全性に優れた接続ソリューションを紹介する。
コミュニケーションズのコーナーでは、コネクターやセンサーのほかにも熱収縮チューブや、電磁妨害(EMI)対策に欠かせないノイズ除去チューブなど「パフォーマンスマテリアルズ製品」と呼ぶ製品群を紹介し、市場への浸透を図る考えだ。
展示品・技術の中でもとりわけ注目すべきは、人と同じ空間で作業をする協働ロボット向けの「安全トルクセンサ」と、商用車や建設機械などの油圧機器で使用されるエンジンオイルや油圧オイルの状態を監視する「オイル特性センサー」だ。
安全トルクセンサはロボットアームの関節部にかかるトルク(回転軸の周りに生じる力のモーメント)を計測し、人との衝突などで異常な力がかかったことが分かると、即座に信号を出し、システムが制御可能となる。一方のオイル特性センサーは、エンジンオイルや油圧オイルの温度、粘度、密度、誘電率、抵抗率を同時に検出してオイルの品質を調べる。オイル交換の時期を最適化できるほか、オイルの品質劣化に伴う故障のリスクも低減できる。いずれも安全性の向上や業務の効率化・自動化に不可欠の技術と言える。
一方、「ワールド コネクティビティ」の体験コーナーでは、TEの製品・技術がさまざまな分野で担っている役割を、ゲーム感覚で楽しみながら知ることができる。例えば体験者がモニター画面の前に立って身体の重心を移動させると、圧力センサーが検知し、画面に映し出されるEVの速度や進行方向を制御するといった具合だ。エネルギーを視覚的に表現した「エナジーボール」が画面に現れ、これをつかまえるとエネルギーがたまる。複数の人が参加し、サステナブルな電力によるつながる世界を体感できる。
TEジャパンの櫛引健雄マーケティング統括部長は各コーナーの製品・技術・ソリューションに触れることで「TEの電子部品が、人と世界をつなぐ重要な役目を果たしていることを、実感していただけるのではないか」と期待する。持続可能な未来社会の実現に、安全性や効率の面で貢献する。そんな決意を象徴する展示会場になりそうだ。
(2022/10/18 09:00)