(2023/1/27 05:00)
高校で2022年度から必修になった「情報Ⅰ」科目をめぐり、入試での扱いが国立大学ごとに異なる対応となってきた。各大学には「どのような学生を求めているか」というポリシーに基づく対応を受験生、社会に早期に発信してもらいたい。
情報は現代・未来社会に必須のスキルとして、22年度の高校1年生からプログラミングなど含む情報Ⅰが必修になった。1期生となる25年度入学者の入試に向け、国立大学協会(国大協)は1次試験に当たる大学入学共通テストで同科目を課すことを国立大の原則としている。
ただ、高校教諭のスキルのバラつきや浪人生の扱いなど、課題は多い。そのため配点を増減する配慮がなされ、北海道大学や徳島大学、香川大学は配点をゼロにするなどの方針を出している。
一方、電気通信大学は一般入試の2次試験で情報Ⅰを出題することを国立大で初めて発表した。「物理、化学、情報の3科目から2科目」を選択する形だ。受験生や高校の不安を拭い去るため、23年度中に試験問題例を公開するという。情報理工系大学の役割だと自覚しているようだ。経験のない作問に及び腰の他大学理工系教員を刺激することになるのか注目したい。
情報分野を専門とする国大協の西尾章治郎副会長(大阪大学長)は「情報の教育は大学に入ってからでは遅すぎる。高校生らの考え方が高度化していくことは、日本の産業構造(の転換)の点からも大切だ」と強調する。一方で永田恭介会長(筑波大学長)は「情報は重要だと認識しているが(受け入れ側の方針である)アドミッションポリシーは各大学で異なる。縛ることはできない」と説明する。
確かに専門分野によって情報の重要度は異なり、配点しないという“脱・横並び”も一つの個性かもしれない。科目数を抑えることで受験生を引きつけるという強力な理由もあるだろう。私立大学の入試に広げて考えればなおさらである。各大学の人材育成の信念や方針が読み取れる情報Ⅰの扱いについて、議論を注視していきたい。
(2023/1/27 05:00)