(2023/2/28 05:00)
岸田文雄首相は電気料金の追加の負担軽減策を検討する。3月中に対策をまとめる方針だ。消費者物価指数の上昇率は2月にピークアウトする可能性があるが、大手電力各社の値上げ要請が再高騰を招きかねない。適切な対策を講じ、企業の賃上げ効果を最大限に引き出したい。
1月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比4・2%上昇し、41年4カ月ぶりの上げ幅だった。エネルギー価格が同14・6%上昇と全体を押し上げた。2月は政府の総合経済対策により2月請求(1月使用分)の電気料金が2割程度下がるため、物価上昇率は3%台への下落も想定されている。
ただ大手電力各社は4月ないし6月からの規制料金の値上げを経済産業省に申請しており、物価の再高騰が懸念される。政府は値上げ申請を厳格に審査しつつ、電気料金の追加の負担軽減策をまとめる方針だ。1月が物価のピークだったと振り返れる追加策としてもらいたい。
電気料金に6、7カ月後に反映される原油価格はすでにウクライナ情勢前の水準に戻っており、日銀は2023年度の物価上昇率を1%台半ばと予測する。物価は年前半は高水準で推移するが、年後半から下落が顕著になるとみられる。ただ原油価格は中国の本格的な経済再開、産油国による利益確保の減産、ロシアの供給減の報復などに留意する必要があろう。
円ドル相場は、日銀総裁候補の植田和男氏が国会聴聞で現行の金融緩和を当面維持する方針を示し、米国は堅調な雇用情勢などを背景に金融引き締めが長期化する可能性がある。日米金利差が意識され、輸入物価を押し上げる円安が進みやすい。ただ米国の物価上昇率は鈍化しており、今後2回の利上げ後、年内に利上げが停止されるとの見方もあり注視していきたい。
政府の支援がなくても継続的に賃金が物価を上昇率で上回る構造に転換し、副作用が懸念される金融政策の正常化を模索したい。成長分野への積極投資と人材移動などによる構造改革を進め、24年以降の春闘も意欲的な賃上げを継続していきたい。
(2023/2/28 05:00)
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