(2023/3/6 05:00)
建設機械の需要が好調だ。日本建設機械工業会(建機工)は2023年度の建設機械出荷金額が前年度比7%増の3兆580億円と、過去最高を更新する予測をまとめた。増加は3年連続。低価格品で攻勢をかける中国への依存を弱める一方、高付加価値品を見込める米欧や豪州に軸足を移行したことが奏功する。23年度の世界経済は先行き不透明だが、収益重視の戦略で市場開拓を進めたい。
23年度の出荷金額は、国内が同3%増の9150億円、輸出が同9%増の2兆1430億円と予測する。世界経済はウクライナ情勢や欧米の金融引き締めの長期化が想定されるが、コロナ禍からの経済活動再開に伴う工事需要を見込め、海外での一段の事業拡大を目指す。
08年のリーマン・ショックから10年間、建機市場の主戦場は中国だった。だが中国が国産化計画を進め、低価格品で市場を混乱させたことで、日系メーカーの多くの工場は過剰設備に陥り、人員維持と稼働率向上の問題を抱えている。中国では国内企業を優遇し、公正な競争も期待しにくい。「中国依存率を下げることが至上命題」と主要メーカーのトップは口を揃える。10年度に12・3%だった中国向け出荷金額比率は、21年度に0・7%まで低下した。脱・中国への戦略転換が出荷金額の増額につながったと評価したい。
建機工の会員企業による22年4―12月期の出荷金額を仕向け先別に見ると、国内が33%、北米が29・8%、欧州12・9%、中国除くアジアが8・5%。欧米など先進国は、原材料価格の上昇分などを建機価格に転嫁しやすい利点もある。日立建機は世界市場で建機・鉱山機械の全製品を4月から順次値上げする。値上げ幅は平均8%。コマツは2月から国内向け建機を平均10%値上げしている。物流費や人件費も上昇しており、値上げの動きは加速しそうだ。円滑な価格転嫁により、収益基盤を維持することが求められる。
電動ショベルやICT建機など、各社は研究開発を強化する上でも収益重視の戦略を継続し、堅実な成長を続けたい。
(2023/3/6 05:00)
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