(2023/3/16 05:00)
日韓首脳会談が16日、都内で開かれる。最大の懸案だった元徴用工問題が政治決着に向かうのに伴い、両首脳が互いに相手国を訪問する「シャトル外交」を約12年ぶりに再開することで合意する見通しだ。法的に不安定な軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化や対韓輸出規制についても建設的な議論が期待される。日韓は元徴用工問題を「最終的かつ不可逆的な解決」であることを確認し、東アジアの安全保障と経済の両面で関係改善を進めていきたい。
韓国政府は6日、元徴用工問題をめぐり、韓国大法院(最高裁)が日本企業に命じた賠償を韓国側が肩代わりする解決策を発表し、日本政府はこれを評価した。北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、ともに米国との同盟国である日韓が関係を改善し、東アジア安保で連携強化に向かう意義は大きい。
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の就任後初の来日を受け、岸田文雄首相は今夏にも訪韓する方向で検討する。さらに5月の先進7カ国(G7)広島サミットに尹大統領を招待することも検討中で、強固な日米韓連携を基軸に民主主義国の結束を世界に発信したい。
バイデン米大統領は日米韓3カ国が参加する安保協議の枠組みを検討している。「拡大抑止」をめぐる情報共有を3カ国に広げることなどが想定される。3カ国の連携強化には、韓国が秘密軍事情報を日本と共有するGSOMIAの正常化が欠かせない。日本政府は韓国が世界貿易機関(WTO)提訴を取り下げることを前提に対韓輸出規制を見直す方針で、両国は建設的な協議を進めてもらいたい。
他方、経団連と韓国・全国経済人連合会は「未来志向」の共同事業を推進する方針を決めている。基金を創設し、留学生を支援するもので、日本企業にとっては“賠償”とは異なる資金拠出となるため協力しやすい。
韓国は尹大統領が22年5月に就任し、5年ぶりの保守政権になったことで対日、対北朝鮮戦略が大きく転換した。日韓の関係改善に意欲を示し、対北朝鮮は抑止を強める。日韓は新たな関係構築への歩みを進めたい。
(2023/3/16 05:00)
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