社説/G7外相会合 対中ロで結束、同志国も拡大を

(2023/4/19 05:00)

長野県軽井沢町で開かれていた主要7カ国(G7)外相会合が18日、共同声明を採択して閉幕した。対中ロを念頭に、国際秩序の維持・強化で結束することをあらためて確認した。政治的に中立な新興・途上国「グローバルサウス」との連携強化も盛り込んでおり、同志国の拡大により中ロ抑止を強めたい。ロシアの核兵器による威嚇も容認しないとした。岸田文雄首相は5月のG7サミットで、唯一の被爆国として核軍縮の重要性を世界に発信してもらいたい。

G7はロシアのウクライナ侵攻や核による威嚇、中国の覇権主義的な動きを断固拒否することで一致した。対中国ではフランスが一線を画す懸念があったが、G7は台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、平和的解決を求めることで一致。結束を維持できたと評価したい。

マクロン仏大統領は台湾問題に巻き込まれるのを欧州連合(EU)は回避する必要があるなどと発言していた。フランスやドイツ、さらに日本は中国経済との結び付きが強く、経済減速の中国は欧州に秋波を送る。中国とは安全保障に抵触しない分野で協力しつつ、中国からロシアへの軍事支援をけん制するバランスがG7に求められる。

G7はロシア制裁が第3国を介して抜け道になっていないかも連携して対処するという。これを前提に制裁を強化したい。

共同声明には、インドとの協力をさらに進め、グローバルサウスへの関与を強化すことも盛り込んだ。西側の価値観を押しつけず、法の支配に基づく国際秩序の意義を訴えることが重要とした。ウクライナ情勢で深刻化するエネルギー安定供給や食料安全保障で緊密に連携するという。岸田首相は大型連休中にアフリカ4カ国を歴訪する予定で、グローバルサウスを取り込む契機とし、国際社会の結束を世界に発信したい。

岸田首相が提唱する核軍縮への行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」も盛り込まれた。日本はG7議長国として国際世論をリードし、核兵器の不拡散や原子力の平和的利用を広島サミットで強く訴えたい。

(2023/4/19 05:00)

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