(2023/4/27 05:00)
経団連は26日、少子化対策など今後の社会保障の財源について「消費税なども選択肢とすべき」との報告書をまとめた。令和国民会議(令和臨調)も25日、少子化対策の財源は「税を中心に安定的な財源を確保する」よう提言した。政府・与党が検討する社会保険料引き上げだけでは現役世代の負担増が懸念される。社会全体で幅広く負担する税も安定財源にすべきとの提言だ。政府はこれらの提言を踏まえ、6月にこども・子育て政策の大枠をまとめてほしい。
政府は3月末に異次元の少子化対策のたたき台を発表し、児童手当と育児休業給付金の拡充策などを明記した。このうち児童手当は所得制限を撤廃し、複数の子どもがいる場合は給付額を第1子より加算する仕組みも導入する。多子世帯への給付次第では数兆円の予算規模に達する試算もある。一方の育休給付金は、男女が育休を取得しても手取りの10割を補い、非正規雇用者らも給付対象に加える。
岸田文雄政権は統一地方選を考慮してか、これまで財源への言及を避け、こども・子育て予算倍増が何に対する倍増なのか基準も示してこなかった。一方で消費増税は封印している。
政府・与党内では社会保険料の引き上げで財源を確保する案があるものの、経団連や令和臨調は現役世代の負担が大きい社会保険料のみの見直しには否定的だ。経団連は「消費税は景気変動にも安定的であり、財源確保の安定性は相対的に高い」と指摘する。社会保障の持続可能性の観点からも、安定財源を確保することが求められる。
財源問題は防衛費の議論が先行し、増税や決算剰余金、歳出改革、国有地売却益など総動員で賄う枠組みができており、こども・子育て予算に回せる税外収入や歳出削減の余地は乏しい。税と社会保険料をいかに組み合わせるのか、岸田政権はベストミックスを模索してほしい。
経団連は全世代型社会保障の構築も求める。社会保障は現役世代だけでなく、負担能力がある高齢者を含む全世代で支えることで持続可能となる。社会保障の公正・公平も実現したい。
(2023/4/27 05:00)