産業春秋／岸田首相がアフリカ歴訪

岸田文雄首相は４日までの日程でアフリカを歴訪中だ。４月３０日のエジプトを皮切りに１日はガーナ、３日にケニア、４日にモザンビークの４カ国の各首脳と会談し、南半球を中心とした新興・途上国「グローバルサウス」との関係を強化する。

アフリカ歴訪は、１９日に開幕する主要７カ国（Ｇ７）広島サミットを見据えたものだ。「法の支配に基づく国際秩序の堅持」を訴え、グローバルサウスを取り込むことを目的とする。

グローバルサウスは政治的に中立な国が多く、西側諸国にも中ロにも加担しない。中ロはインドを盟主とするグローバルサウスとの新秩序の形成を目指しており、岸田首相はアフリカ歴訪により、こうした動きをけん制したい。

日本は２０３０年までに官民で７５０億ドル（約１０兆円）をグローバルサウスに投入し、インフラ整備や安全保障の分野で協力を強化する。だが食糧・軍事面でロシアに一定程度を依存するアフリカは、国連総会のロシア非難決議などに同調しない国が少なくない。

インドは主要２０カ国・地域（Ｇ２０）の議長国である一方、ロシアへの経済制裁の抜け道でもある。したたかなインドとの連携がアフリカ歴訪後の大きな宿題になる。