産業春秋/“DX疲れ”の処方箋

(2023/7/20 05:00)

このところ“DX疲れ”という言葉を耳にする。連日の記録的な暑さで、梅雨明け前にもかかわらず夏バテ気味の体と重なる。ともにこれからが本番なのに乗り切れるのか。

デジタル変革(DX)を進めないと「2025年の崖」から転げ落ちる。経済産業省が18年に出したリポートから、DXへの認識は高まった。当初、企業の反応は鈍かったが、コロナ禍のテレワーク対応が弾みとなり取り組みが活発となった。

ここに来て“疲れ”を訴えるのは成果が見えてこないため。データ化・オンライン化は進んだが“変革”による新価値創造に至っていない企業が少なくない。

この問題に対して三菱総合研究所は処方箋を示す。最高デジタル責任者の任命や担当部署の割り振りにより推進責任を明確化し、全社を巻き込んで各部署の課題を言語化すること。こうしたビジョンを策定することが成功のカギだと。

ある業界トップメーカーの責任者は、DX実現には人材確保・育成が不可欠で一朝一夕にはいかない。成果を出すには5年はかかると腹を据える。“崖”まであと1年半と迫るが、転落を防ぐことがDXのゴールではない。真の目的はそこに橋を架け、新たな世界に踏み出すことだ。

(2023/7/20 05:00)

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