産業春秋/ビッグモーター、顧客半数の代償

(2023/7/27 05:00)

中古車販売大手のビッグモーター(東京都港区)による保険金の不正請求問題は、不明な点が多く、少なからぬ疑義も抱く。国土交通省をはじめとする関連省庁や第三者機関は実態解明に万全を期してもらいたい。

26日付で社長を辞任した兼重宏行氏は25日の会見で、不正請求の事実を認めるも板金塗装部門単独の不正であるとし、組織的な関与を否定した。仮にそれが事実なら、組織として必須の内部統制を欠落していたことなる。会見を額面取りに受け取って良いのか、実態解明を待ちたい。

不正の背景には過剰なノルマ、パワハラと言える理不尽な降格人事がある。顧客を欺いてでも、もうけを追う。今回の不正をこの企業風土が誘発したのなら、もはや企業の体をなしていない。

兼重宏行氏と長男の前副社長は経営に関与しないと語る。だが大株主であり続ける。ガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令順守)が機能するかは不透明だ。

ビッグモーターに出向していた損害保険会社は不正を見抜けなかったのか、金融庁は事実関係を確認するという。同社の中古車販売・買い取り台数は通常の半分に減った。不正請求の返金と比べものにならない代償である。

(2023/7/27 05:00)

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