産業春秋／全国戦没者追悼式、韓国は光復節

政府主催の全国戦没者追悼式が１５日、日本武道館（東京都千代田区）で開かれた。終戦から７８年。参列した遺族の４割超が戦後生まれで占め、戦争を直接知る世代が減少している。戦争の記憶をいかに伝承するかが大きな課題として残る。

新型コロナが感染法上の５類に移行し、行動制限が緩和された中での開催。４７都道府県からの参列が見込まれたものの、台風７号の影響で参列できなかった遺族がいたのは残念だった。厚生労働省によると、１３日時点で９府県の遺族が出席を取りやめていた。

天皇・皇后両陛下や岸田文雄首相ら三権の長、遺族約１５００人が参列し、全体で２０００人超が戦没者約３１０万人を悼んだ。コロナ禍前の３分の１ながら、２０２２年の約１０００人からは倍増。早期にコロナ禍前に戻したい。

同じ日、隣国の韓国では、日本の植民地支配からの解放を祝う光復節を迎え、尹錫悦（ユンソンニョル）大統領が演説した。日韓の関係改善を強調し、安全保障と経済の両面で協力を強化する前向きな考えが示された。

岸田首相は追悼式で「歴史の教訓を深く心に刻み、戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と語った。併合した隣国にも思いを致し、不戦の誓いを新たにしたい。