アイリスオーヤマ、公正評価で働きがい 年齢・性別なく抜てき

(2023/10/10 12:00)

業容拡大で急成長を続けるアイリスオーヤマ(仙台市青葉区、大山晃弘社長)。それに伴う仕事量の増加を、社員一人ひとりの生産性を高めることなどで補っている。中でも若手を大胆に登用したり、成果に報いたりする評価制度が社員の働きがいや仕事への意欲を高めており、結果として2022年度の平均残業時間は20年度比約20%減を達成した。

  • 女性を含む20代から50代まで幅広い年代の社員がグランプリ大会に進出(前列左から3人目が大山社長)

「コロナ禍による特需でかなり忙しくなり残業も増えたが、何とか社員一丸でこなした」とこの数年を振り返るのは、人事部の会田祐一部長。感染症対策のマスクに加え、家電などの巣ごもり需要増で社員の業務量も右肩上がりになった。

今や学生の就職先人気上位企業であり「若い人を的確に採用できた」(会田部長)ことで急場をしのいだが、それでも「結局は教育やケアが大事。ポテンシャルの高い人を採用し、その人のパフォーマンスを上げ、結果として残業を減らす」(同)ことを基本に据える。

重視するのが年齢や性別などにとらわれない公正な評価だ。力があれば若手も幹部クラスに抜てきする。「走行車線、追い越し車線、登坂車線のように、どんどん追い越していい」ことから”三車線人事“と名付けた。実際、20代の幹部社員、32歳の執行役員も誕生している。毎年2月に会長、社長ら経営陣を前にした課題論文の発表会を実施。普段の仕事ぶりも合わせて評価する。しかも上司だけでなく同僚や部下などからの360度評価のため「どんなに仕事ができても部下の評価が悪ければ昇格しない。降格もある」厳しい側面もある。

また半期に1度、成績優秀者を評価するグランプリ大会を開催。こちらも年齢問わず、各部署から選抜された代表者が決勝に進む。1月の大会では26歳の営業所長がグランプリを獲得。「売り上げや利益の目標を達成したほか、若いながらも部下を持ち、その教育にも優れていた」ことなどが決め手となった。

  • 立ち作業が運動にもなるとして、昇降式デスクを利用する社員は多い

さらに「三つ目の賞与」と呼ぶ決算賞与をその年度の営業利益を原資に幹部社員に支給する。特に貢献度の高い人には金・銀・銅メダルを授与。金メダルなら300万円という成果報酬を用意する。

こうしたソフト的な取り組みだけでなく、ハード面の整備にも積極的だ。その一つが働きやすいオフィスづくり。先行モデルである東京アンテナオフィス(東京都港区)が国際的なビル評価指標「WELL認証」の最高ランク「プラチナ」を取得した。これは空気や水、栄養、光、運動など10項目の観点から建物を評価する米国発の認証制度だ。

具体的にはコミュニケーションを取りやすい座席や会議室の配置に加え、「昇降式デスクもユニーク。作業しながら運動にもなる。フリーアドレスなので私もよく利用する」(会田部長)といった工夫が施されている。照明も夕方になると輝度を落とし暖色系の光に変わるなど、人体のリズムに即して調光する。これを仙台や大阪などのオフィスにも横展開中だ。生産性のみならず、社員の心身を癒やす働き方改革を加速している。

(2023/10/10 12:00)

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