(2023/10/17 05:00)
金沢大学の西村斉寛助教と渡辺哲陽教授は、指先が回って把持面を選べるロボットハンドを開発した。指先の形や軟らかさ、摩擦などの異なる把持面を組み合わせて把持対象ごとに戦略を変えられる。ギザギザな面に歯車を引っかけてつかんだり、薄い部品はすくい上げたりといった指先の交換が必要だった作業を一つのハンドでできる。工場や物流などでのピッキングに提案していく。
二指開閉ハンドの指を回して把持面を切り替える。例えば凹面と凹面の指同士で把持すると丸い部品は凹面の中心にくるため位置決めができる。また引っかかり構造のある部品の引っかかりを避けて持つ、変形する部品を軟らかいゴム面で持つ、毛皮部品の毛並みを乱さないようブラシ面で持つなど、把持対象ごとに指の構造や表面を変えられる。
指の回転と開閉を一つのモーターで実現した。指を開ききった状態から、さらに開く方向に力をかけると力の伝達経路が切り替わり、指が回転する。四角柱の指の場合、四面それぞれの構造や硬さを設計できる。
三角柱の指と四角柱の指では、3×4で12通りの把持条件になる。五角柱と六角柱の指なら30通りの把持戦略を使い分けられる。従来は治具を用意するか、指先やツールを交換して対応してきた。
今後センサーを組み込み、対象の形に合わせて自律的に把持戦略を切り替える。多様な対象をハンドリングするピッキング作業の自動化に提案していく。
(2023/10/17 05:00)
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