(2023/11/15 12:00)
特定の物質に内部から直接加熱できる電磁波の一種のマイクロ波を用いて、化学業界や鉱山関連など向けに製造プロセス開発をするマイクロ波化学。共同開発案件も増え、研究や実証をする大阪事業所(大阪市住之江区)を拡張する。吉野巌社長に狙いを聞いた。
―大阪事業所を増強します。
「大阪事業所はマイクロ波を使った製造プロセスについて、顧客とスケールアップするための開発を担う。プロジェクト数の量的拡大や質的向上を狙い、第3実証棟とテクニカルセンター(第4実証棟)を建設する。第3実証棟は2023年度内に完成予定で、標準ベンチ設備や標準パイロット設備を導入する計画だ。テクニカルセンターは設計段階だがショールーム要素を強め、気軽に試験できるようにする」
―標準設備を導入する理由は。
「技術を広める成長ステージにおいては、開発した製造プロセスを用いて商業機をいかに早く安く作れるかが勝負になる。ベンチ設備やパイロット設備は、従来から共通する項目を作っていたものもあったが、顧客ごとに作っていた。設備開発に少なくとも1年かかる。標準機を用いることですぐにスケールアップの実証ができ、商業機製造に向けたデータを早く取得できる。既にケミカルリサイクル用では企業にパイロット機を使ってもらっており、今後も標準設備を増やす」
―人材採用については。
「これまでは小規模で全員を見渡せたが、今後は組織として成長する必要がある。より自律的に動ける人材であることが重要で、人事制度の改定を検討している。今までは中途採用のみだったが、ゼロから育てた人材も必要。1―2年後の新卒採用を検討している」
―企業との実証開発が増えています。
「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応で電化の需要が高まっていることが理由の一つ。二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らすには、従来と全く違う技術が必要だ。マイクロ波を用いた製造プロセスを再生可能エネルギーによる電化と組み合わせて、CO2排出量を90%削減した例もある。マイクロ波がカーボンニュートラルのための技術にフィットする可能性がある」
(2023/11/15 12:00)
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