(2023/12/18 17:00)
日本生命保険は、2024年度に営業職員約5万人の賃金を7%程度引き上げる方針を固めた。労働組合との協議を経て正式に決定する。7%程度の賃上げは2年連続。賃金の魅力度を高め、職員の定着につなげる。生保業界では第一生命ホールディングス(HD)など大手がそろって職員の24年度からの7%以上の賃上げを表明している。他の金融機関をはじめとした他業界へ波及するのか注目される。
初任給の引き上げや勤続5年以内の若手職員約2万人の人的投資を手厚くする他、育成期間を経て自立的に営業活動が行える職員の処遇も充実させる。成果などに応じて個々の営業職員の賃上げ率は異なり、100億円を上回る人件費の投下になり、総人件費ベースで7%程度の増加を見込む。
日本生命の清水博社長は「賃上げやリスキリングといった人的資本に投資し、職員のエンゲージメントを高めたい」と狙いを述べた。保険販売を担う営業職員にとどまらず、企画や管理などを担う内勤職員についても、23年の物価上昇率(3%前後)や経団連の動きを踏まえ、「前向きに賃上げを検討していく」という。
生保業界では、第一生命HDが従業員株式報酬制度の導入や営業職の給与改定などを行い、24年度にトータルで平均約7%の賃上げを見込む。
明治安田生命保険は、24年度から年功序列にとらわれず、役割や実績重視の人事制度などに移行することに伴い、内勤職員の年収を平均7%引き上げる方針だ。住友生命保険は、営業職員の賃金を平均7%以上引き上げる方向で調整中だ。
保険業界は、目に見えるモノをつくっておらず、人が最大の資本とも言われる。賃金や福利厚生といった人事制度が新卒・中途採用の競争力にも直結するだけに、生保大手は前のめりで賃上げを表明している。
(2023/12/18 17:00)
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