(2024/1/5 12:00)
航空機関連部品の試作・加工、非破壊検査、校正事業が3本柱のエイチ・エー・ティー(東京都国立市、吉田隆史社長)。1998年の設立以来、航空・宇宙関連を中心に事業展開している。同社では機械加工のみならず、試験・校正機関に関する国際規格を取得することで信頼性を高め、グローバル企業との取引拡大を目指す。「変化」をテーマに掲げた同社が新たな四半世紀へのスタートを切った。
エイチ・エー・ティーは23年11月に、試験・校正機関に関する国際規格「ISO/IEC17025」の圧力校正分野で、認定を取得した。同規格では16年に光学分野を取得しており、二つ目の認定取得となった。米国ペリージョンソン・ラボラトリー・アクレディテーション(PJLA、ミシガン州)から認定を受けた。
エイチ・エー・ティーは部品加工以外で、12年から非破壊検査関連事業に参入。校正・薬剤評価試験と合わせ昭島事務所(同昭島市)で事業展開している。今回の圧力分野の認定取得にあたっては、圧力ゲージ・加圧ポンプといった設備増強を図った。
吉田社長は「航空機関連の機器校正では国際規格取得が強みになる。光学分野の取得後は自動車をはじめ、航空機以外の産業からの引き合いも増えた」という。今後は同規格で温度分野の認定取得も視野に入れている。
国際規格の校正分野拡充を主要顧客の航空機関連企業に訴求するとともに、グローバル展開する企業の新規開拓にもつなげていく構えだ。同規格の取得分野拡充を機に校正・薬剤評価試験事業関連で25年8月期に売上高2億円を目指す。
こうした展開に加え、同社が力を入れ体制を整備したのが「リバースエンジニアリング」だ。スキャナーで現物をスキャンし、データを取得して製品作りを行う。本社工場に高解像度の3次元(3D)スキャナーやX線CT(コンピューター断層撮影装置)を導入した。
X線CTはナノメートル(ナノは10億分の1)サイズに対応可能で微細化する材料組織の検査ニーズにも応える。ソフトウエアは軽量設計を最適化できる製品を導入。これにより、部品形状をスキャンしてデータ化、ラティス(格子)構造に設計することで、強度を保ちつつ軽量化を実現できるようになった。
3Dプリンターは光造形・熱溶解積層方式の10台体制を備え、量産にも対応可能だ。従来から保有する金属加工向け5軸マシニングセンター(MC)、放電加工機などを加えると、設計から検査まで本格的なリバースエンジニアリングの体制が構築できた。
吉田社長は「これからは変化し続けないと生き残れない。国際規格の追加取得やリバースエンジニアリングの体制構築で航空・宇宙分野をさらに深耕していく。同時に医療・ロボットといった産業分野に訴求し、新たな受注獲得にも挑戦したい」と明確なビジョンを掲げる。
(2024/1/5 12:00)
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