(2024/1/22 12:00)
パナソニックホールディングス(HD)の電池部門であるエナジー事業は、2023年に事業開始100周年を迎えた。同事業を担う事業子会社のパナソニックエナジーは23年11月に乾電池の中核生産拠点として二色の浜工場(大阪府貝塚市)を本格稼働。無人フォークリフト(AGF)や天井搬送システム、自動倉庫などのロボット技術による工場内の自動搬送を導入した。
車載電池などのリチウムイオン電池(LiB)が注目されるパナソニックエナジーだが、乾電池も国内シェアトップを握る主力製品だ。奥長秀介常務執行役員は「乾電池は成熟市場とみられがちだが、災害など突発的な事態があるたびに需要が跳ね上がる」とその重要性を力説する。
二色の浜工場はかつて三洋電機の太陽光パネル工場だったが、21年の生産撤退に伴い同年9月から乾電池工場への改築を進めてきた。従来、パナソニックエナジーの主力工場だった守口工場(大阪府守口市)の老朽化に伴い、将来にわたり安定した生産を実現する工場として整備し、機能を移転。23年4月に単1と単2の製造を開始し、同年11月に単3と単4の製造も始めてフル稼働となった。1階で単1と単2の製造、2階で単3と単4の製造を、組み立てから包装までそれぞれ行う形で効率的な生産体制を構築している。
二色の浜工場は守口工場と比べて全体の延べ床面積がやや増加。ただ、守口工場では1棟の中でフロアをまたいで製造していたのに対し、同じ階層で建物をまたいだ体制へと大幅に構造が変化した。製造と包装で建物を分け、組み立てが完成した乾電池を製造ラインから包装ライン、出荷へと自動搬送する。
製品の大きさ別にフロアを分けて整理されたレイアウトとなったが、搬送距離は長くなった。「人手での搬送ならば従業員数を増やす必要があった」(奥長常務執行役員)状況で、従来と同等の約300人体制では自動化が不可欠だった。自動搬送を使いこなすことで、将来ベテラン社員の退職後に少子化で人員補充が困難になっても、生産体制を維持できる見通しだ。
平面での搬送が中心となったため自動搬送が力を発揮する。「従来の守口工場は人が搬送を担う前提でラインを増強していたため、自動搬送システムを導入するのが難しいレイアウトとなっていた」と奥長常務執行役員は振り返る。移転によってシステム導入が実現し、「乾電池完成から出荷までの工場内の自動搬送比率80%以上を達成した」(同)。
自動搬送の導入にあたり、伊東英機工場長は「乾電池は体積の割に重量があるため、搬送時に転倒や傷が発生しないように工夫した」と話す。コンテナの積み下ろしは人の作業が介在するが、将来はできる限り自動化したいという。
乾電池事業は東南アジアや中南米、インドなどでも展開しており、売り上げの半数以上を海外が占める。今後、二色の浜工場で自動搬送の効果を検証した上で海外工場にも展開する構想だ。
(2024/1/22 12:00)
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