住商、ノルウェー社に出資 「CO2排出権」日本で販売

• 

  バイオガスプラントからのＣＯ２回収に取り組む（フィンランドのガスム社の工場）

住友商事は２２日、バイオメタンの生成過程で発生する二酸化炭素（ＣＯ２）の回収・貯留（ＣＣＳ）を手がけるノルウェーのインヘリット・カーボン・ソリューションズに出資したと発表した。ＣＣＳ事業からＣＯ２のクレジット（排出権）を発行し、日本企業などへの販売を目指す。出資額は明らかにしていない。ＣＯ２の排出削減が困難な化石燃料の利用企業に、カーボンニュートラル（ＣＮ、温室効果ガス排出量実質ゼロ）の実現手段を提供する。

インへリットは、家畜の排せつ物由来のバイオメタンなどを生産する企業からＣＯ２を引き取って地中に貯留する。貯留地まではＣＯ２を液化して鉄道やトラックで輸送する。北欧でのバイオメタン生産者とのネットワークや貯留槽の利用権を活用し、ＣＯ２クレジットの２０２５年からの発行を目指している。

住友商事はインへリットと共同で、北米やアジア圏でもＣＯ２の貯留権益を確保してＣＣＳ事業を展開することを計画している。住友商事の産業ネットワークを活用し、化石燃料を使う航空・船舶業界などへのクレジット販売を想定する。

ＣＮ社会の実現に向けては、ＣＯ２の削減手段を講じても生じるＣＯ２排出を相殺する手段が必要とされる。住友商事は再生可能エネルギー開発などを進めつつ、北海南部でのＣＯ２貯留権益の取得や、大気中のＣＯ２の直接回収（ＤＡＣ）技術を持つ米国企業への出資参画などに取り組んでいる。