(2024/1/26 17:00)
日中経済関係は4年ぶりの合同訪中代表団派遣により、分断から協調への新たな1歩を踏み出した。コロナ禍で人的往来が途絶える間に、世界経済は大きく変わった。日本企業にとって隣国のビジネス環境は悪化の一途をたどり、対中投資に二の足を踏む。“政冷経冷”に陥らないため、まず両国が信頼醸成に向けて歩き始めたことが今回の最大の成果となる。
「今の時点で解決したというものはほとんどない。しかし、信頼醸成に向けて努力していこうという意識に両方ともなったのではないか」―。日中経済協会の進藤孝生会長(日本製鉄会長)は今回の訪中団をそう総括した。
たしかに目に見える成果は少ない。日本からの短期滞在ビザの免除措置の再開を期待する向きも事前にあったが、経済界が出した各種要望について、中国側は“ゼロ回答”だった。中国政府が2023年12月から規制を強化している、電池などに使う黒鉛の輸出許可が直前に日本企業へ下りたことは訪中団と無関係かもしれない。
それでも、日中経済の新たな時代の幕が静かにでも開けた。日本商工会議所の小林健会頭は「どういう言い方で、どういう考え方を持っているのかがお互いに分かった。そこから出発するのだろう。将来的には、政治も出てきて一緒に解決していかないといけない」と第一歩を強調した。
景気減速が鮮明な中国は23年の国内総生産(GDP)成長率が5・2%だったが、24年は内需不振により成長がさらに鈍化するとの見方が大勢だ。外資の投資誘致が景気回復のカギを握り、日本企業の声は従来以上に届きやすいはず。
24年は日中経済協力の促進に向けて大きな分岐点となりそうだ。
(2024/1/26 17:00)
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