(2024/2/23 05:00)
22日の東京株式市場の日経平均株価が終値で史上最高値となる3万9000円台を付けた。だが日本経済は2023年10―12月期の実質成長率が2四半期連続のマイナス成長で、実体経済を反映したとは言い難い。史上最高値の実感に乏しい。縮小均衡のデフレから完全脱却し、賃金と物価がともに上昇する拡大均衡へと日本経済を移行させなければ実感は湧かない。まずは24年春季労使交渉(春闘)で意欲的な賃上げを実現し、「実感ある株高」に近づきたい。
足元の株高は米株高と円安、日本企業の好決算、さらに生成人工知能(AI)の普及に伴う半導体市場への回復期待が背景にある。22日は米半導体大手エヌビディアの決算が市場予測を上回ったことなどを材料に株価を一気に押し上げており、「半導体相場」の様相を呈している。買いが買いを呼ぶ過熱感もあり、足元の株価は一喜一憂せず冷静に見つめる必要がある。
株価が急上昇し、日本企業の好業績が相次いでいるものの、日本経済は低空飛行が続く。23年10―12月期の実質成長率は年率換算でマイナス0・4%と2四半期連続のマイナス成長で、内需をけん引するはずの個人消費と設備投資が3四半期連続のマイナスと振るわない。賃上げが物価上昇に追い付かず、設備投資も投資意欲はあるものの、人手不足による設備導入の納期遅れや、世界経済の先行きへの警戒が影響しているとみられる。
日本経済は24年春闘を起点に経済の好循環を回したい。限られたパイを奪い合う経済から脱し、パイそのものを大きくする拡大均衡が求められる。「失われた30年」のコストカット経済は縮小均衡のデフレを招き、台頭する新興国との価格競争に奔走するあまりイノベーションも怠ってきた。低下した生産性と国際競争力の向上に向け、人材投資をはじめとした三位一体の労働市場改革や企業の成長投資を促すことが求められる。
行き過ぎた円安も日米金利差だけが理由ではない。貿易収支の黒字化を定着させ、日本の稼ぐ力を引き上げることは、円安是正にもつながるはずだ。
(2024/2/23 05:00)
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