ムネカタ、ロボ活用し樹脂成形・塗装 省人化・効率化を推進

(2024/3/25 12:00)

ムネカタ(福島市、佐藤正幸社長)は、ムネカタインダストリアルマシナリー(同市)を中核とするグループの主力企業。プラスチック用精密金型や樹脂製品の成形・塗装などを手がけ、自動車の車載機器ほかコピー機・複合機、医療機器向けに供給する。その工場では射出成形機の製品取り出しロボットと塗装ロボットが活躍し、より省人化・効率化を目指した新たな取り組みも始まろうとしている。

  • 工場内の射出成形機と取り出しロボット

ムネカタの工場に導入されたプラスチック射出成形機は全部で56台。うち55台が型締め力100―1800トンの電動式だ。同75トンの小型機1台だけが油圧式で、スーパーエンジニアリングプラスチックなど硬い材料の成形品に活用される。

各成形機には取り出しロボットが付き、1サイクルの成形が終了して金型が開くとロボットが製品を搬出してコンベヤーに載せる。成形品はそのまま検査工程に運ばれる。

異種素材を樹脂と一緒に成形するインサート成形でも自動化が進む。例えば厚さ数十マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のアルミニウム製フィルムの一体成形では100ミリ×200ミリメートルの大きさのフィルムをツメで自動位置決めした後、吸着して金型に移送。金型にフィルムを貼り付けたまま樹脂成形を行う。

成形品の生産数量では車載機器向けが7割を占めるものの、それ以外の顧客が増えているため、「今後はバリやゲートの自動処理が課題になる」。モールディング製造チーム設備保全セクションエンジニアの細川達也氏はこう話す。

  • プラスチック成形品を塗装する塗装ロボット

通常は成形機から金型に樹脂を流し込む注入口(ゲート)部分の樹脂が固まったまま残り、それをナイフやニッパーで成形品から切り離す作業が必要になる。こうした作業を自動化するため、取り出しロボットのメーカーと協力し、カメラで位置を確認しながら刃物で自動的にゲートカットしたり、バリの発生する部分に細かい樹脂の粒を噴射して表面を滑らかにしたりするブラスト処理の導入を検討している。

一方、こうしてできた成形品に準クリーンルームで塗装を施す工程では、3ラインで計4台の塗装ロボットが稼働する。

ここでは撹拌機を改良し、塗装タンクに残った塗料をそれまで毎日3キログラム程度廃棄していたのを、半分程度に抑える仕組みを2年ほど前から社内で開発。原価低減につなげているという。

同チーム製造2課の佐々木一治課長によれば「物価高で塗料の原材料価格も上昇している。いったん原料を混合しタンクに残った塗料が毎日捨てられていて、それを減らすことに重点を置いた」。

次は塗料自体の使用量削減も視野に入れる。塗料と硬化剤の混合割合を変えながら塗装の膜の厚みを抑えつつ光沢を上げることで塗料の吹き付け量を減らせないか―。「2024年度に向けた取り組みになる」(佐々木課長)としている。

(2024/3/25 12:00)

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