(2024/5/10 05:00)
台湾新総統の就任式が20日に開かれ、日中韓首脳会議が26―27日を軸に調整されている。新総統に就く親米の民進党・頼清徳氏は「一つの中国」を認めず、中国は同氏を独立志向が強い総統と敵視する。中国による台湾への威圧が強まることが想定され、不測の事態を回避することが当面の課題だ。日中韓首脳会議では、未来志向で協力関係を模索し、安全保障をめぐる東アジアの緊張を緩和したい。
4月19日に閉幕した先進7カ国(G7)外相会合では、中国の海洋進出に強い懸念が表明され、台湾海峡の平和と安定の重要性も確認された。習近平政権は台湾統一へ武力行使も辞さない姿勢を示し、南シナ海ではフィリピンと領有権を争い、幾度となく衝突する。中国の覇権主義的な動きを緩める多国間協力の枠組みを早期に築きたい。
日米は4月の首脳会談で、自衛隊と米軍の指揮統制を連携するなど同盟を強化し、中国の威圧を受けるフィリピンを交えた初の日米比首脳会議も開いた。日米同盟を軸に、東南アジア諸国連合(ASEAN)や太平洋島しょ国との連携を強めたい。
7月に開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議には日韓首脳も招かれる方向で、日米韓首脳会議の開催も調整されている。バイデン米政権は、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分と位置付けており、中ロをけん制し続ける必要がある。
世界経済に深く溶け込んでいる中国とは「対立と協力」のバランスを維持することが求められる。下旬に予定される日中韓首脳会議は、約4年半ぶりの開催になる。2023年11月の日中韓外相会議では安全保障や貿易・経済など6分野で協力を進めることで一致していた。今回の首脳会議でも3カ国が地域の安全・発展に積極的な役割を果たすことを確認してほしい。
欧州を歴訪中の習国家主席は6日、マクロン仏大統領と会談した。習氏は米中対立を念頭に「両国は新たな冷戦を防ぐべきだ」と関係強化を訴えた。中国とはあくまで実利の関係にとどめ、民主主義陣営の結束を分断させない間合いも求められる。
(2024/5/10 05:00)
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